9月9日 フランス(2)モン・サン=ミッシェル~パリ:「海に浮かぶ修道院」


モン・サン=ミッシェル


今回やってきたのは、世界遺産モン・サン=ミッシェル。陸の孤島にある大きな修道院。

何がきっかけかは忘れたが、このモン・サン=ミッシェルの写真をインターネットで初めて見たとき、こんなにきれいな建物があるのかと思ってしまった。

このモン・サン=ミッシェル、ある司教が夢でサン・ミッシェルという天使から、ここに修道院を建てよというお告げを聞いたことによって造られた。

だが、ここは周りが湿地に囲まれる陸の孤島である。よくぞこんなところにこんな立派な建物を建てたものだ。

この周辺の潮の満ち引きはヨーロッパ一だそうで、満潮と干潮の海面差は15mにも及ぶという。なので、昔モン・サン=ミッシェルへつながる道路がなかった時には、
「モン・サン=ミッシェルへ行くなら遺書を書いていけ!」
といわれていた。干潮時には島への道ができるが、満潮になると道が潮に飲み込まれるからだという。18km先の潮が猛烈な勢いで押し寄せてくるのだとか。昔の人は命がけでこの修道院に足を運んだのだ。

ただ、道路ができたせいで島周辺の陸地化が進み、現在は島の間際まで潮が来ることは滅多にないそうだ。かつての姿を取り戻すべく、来年2010年に現在の道に代わって新たな橋を建設する予定だ。

ちなにこのモン・サン=ミッシェル、宮崎駿監督の映画『ルパン三世カリオストロの城』のカリオストロ上城のモデルである。

さて一体どんな場所なのだろうか。自分の目で確かめに行ってみた。


「レンヌ駅起床」
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モン・サン=ミッシェルまでこの電車

午前4時半頃、レンヌ駅地下鉄の入り口にて起床。今日は大きな荷物はパリ北駅のロッカーに置いてきてしまったので、寝袋がない。フランスの昼は日本と同程度の気温だが、夜は寒い。外のベンチで寝ると寒くて寝れないので、昨夜は風をよけるために地下鉄の入り口付近で寝ていた。だがやはり寒い。寒さで4時半に目が覚めてしまった。

駅が開くのは5時。あと30分、寒い外で待たなければならない。その30分はいつも以上に長く感じられた。

「モン・サン=ミッシェルへ」
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モン・サン=ミッシェルへの始発電車は午前9時頃。それまで電車はない。モン・サン=ミッシェルは観光地のはずなのになぜこんなに電車がないのであろうか。レンヌ駅からバスも出ているのだが、このバスは午前9時半発。電車の方が速いし、鉄道パスInterrail Global Passも持っていたので電車で行くことにした。

電車でモン・サン=ミッシェル最寄駅へ行き、そこからバスに乗り換える。バスの所要時間は20分くらいだ。

バスには白人の夫婦が3組ほど乗っている。途中で日本人のカップルが乗ってきた。やっぱりモン・サン=ミッシェルはフランス随一の観光名所。日本人がいないわけがない。

「到着」
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満潮?

モン・サン=ミッシェルに到着。駐車場は半分ぐらい海の下だ。今の時間、潮はだいぶ高いところまえで来ているようだ。

島の繁華街
モン・サン=ミッシェル修道院へつながる島唯一の繁華街へ足を運ぶ。時刻は午前10時頃だが、まだ観光客の姿は少ない。モン・サン=ミッシェルは人気の観光地であるが、朝は比較的空いていると聞いた。もう午前10時頃だったが、まだ客の姿は少ない。
























「修道院へ」
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モン・サン=ミッシェル修道院
斜体

モン・サン=ミッシェルの中心部に位置する修道院。入口から伸びる大きな道を登るとすぐにとうちゃくした。まだやはり時間が早いからだろうか、観光客の数は少なく、チケットはすぐに購入できた。料金は学生料金で5ユーロ(約650円)である。早めに来てよかった。

修道院はとても神秘的だった。修道院の中にある教会ももちろんそう。高い天井やきれいなステンドグラスには魅了された。窓や廊下、テラスから見える外の景色は、絶景。高い場所から見るモン・サン=ミッシェル周辺の広大な湿原が見え、とても眺めがよかった。

「モン・サン=ミッシェル名物」
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モン・サン=ミッシェル名物オムレツ

モン・サン=ミッシェル名物料理がある。それは大きなオムレツ。島の入り口付近に、そのオムレツで有名な店「La Mere Poulard」という店があるのだ。外からはオムレツの実演風景を見ることができる。大きなボールに
入ったたくさんの卵をリズムよくかき混ぜているのだ。歴史のある店のようで、多くの有名人のサインと写真が飾られている。

その有名なオムレツ、表の看板によると値段は28ユーロ(3640円)~。非常に高い。だが、今まで野宿してきた分宿代が浮いていた自分。このような時に使うために取っておいたのだ。そんなに有名なオムレツならば味わってみるしかない。そう思い、店の中に入った。

店はいかにも高級店という雰囲気。自分のような若い者が一人で入る姿は皆無である。メニューをみると、32ユーロ(約4300円)のオムレツしか載っていない。表には28ユーロと書かれていたのだが…ウェイターに聞くと、そのメニューは午後3時からのメニューだという。なんだ。覚悟していた料金より高い料金を請求されそうである。だが、せっかくなのでいただくことにした。

注文したのはエビやホタテなどが入ったシーフードオムレツ。果たしてどんなオムレツなのだろうか。

注文すると約10分程で出てきた。とても早い。出てきたのは巨大なオムレツと小さな皿に入ったクリーム等で煮込まれたシーフード料理。早速オムレツをいただくと、そこには卵しかなく、何も味付けがされていない。どうやら一緒にでてきたシーフード料理と一緒にオムレツを食べるようである。

オムレツの食感はとてもふんわりして最高だ。有名なだけはある。だが味がとても薄く、多量の卵の上、クリーミーなソースがかけられたこの料理はとてもくどかった。正直なところ「はずれ」である。高い料金を支払ったのにひどい味だ。昨日の料理もそうだった。フランス料理を食べて自分がおいしいと思ったものがない。自分が引き当てたくじがはずれなだけなのか、それともフランス料理自体がそんなものなのかよくわからない。おいしいフランス料理を一度食べてみたいものだ。

「バス停の日本人」
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バスの時刻までまだ1時間程度あったが、もうモン・サン=ミッシェル全体を大体見て回ったので、帰るためにバス停へ行く。すると、バス停の前に大きなバックパックを持った日本人っぽい若い男がいる。いかにもバックパッカーという感じだ。話しかけてみると、やっぱり日本人のバックパッカーだった。

英国から船でフランスに渡り、このモン・サン=ミッシェルへやってきたのだという。最寄駅から重たいザックを持って歩いて来たようだ。これからヨーロッパを縦断して、エジプトを目指すのだという。自分の1つ上で、今年大学院を目指すらしい。学部は薬学部。薬剤師の資格を持っているので、たくさんの薬を旅に持ち歩いているようだ。そのせいで一度税関に引っかかったことがあるという。そんなにたくさんの薬を持っていたらそれは怪しまれるだろう。

アジアも結構旅しているようだ。自分は後半にアジアへ旅に出かける。アジアはヨーロッパと比べられない程物価が安い。
「インドネシアなら、100円あれば腹一杯食べられるよ。」
それは楽しみである。バスの目的地がお互い違うので、自分のバスが来た時に別れた。同じような旅をしている人と出会うのは、気持ちや情報を共有し合えるのでとても嬉しい。また会いたいものである。

「レンヌ駅で立ち往生」
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今回乗ったのはレンヌ駅への直通バス。モン・サン=ミッシェル最寄駅から出る電車の本数はとても少なかったので、直接バスでレンヌ駅へ向かった。

バスの本数も1日4本と少ない。観光地なのになんでこんなに少ないのかと思ったが、モン・サン=ミッシェルへ行ってみるとその理由がわかった。多くの人がツアーでやってくるのである。しかもそのほとんどが日本人。これほど多くの日本人をみたのは日本以来。ここまで日本人が多いと海外にいる雰囲気が薄れ、気分が萎える。

レンヌ駅に到着し、すぐに出る高速列車TGVに乗ってパリへ帰ろうと思っていたが、TGVのInterrail Pass枠は満席。TGVはドイツの高速列車ICEと違って予約が必ず必要な上、鉄道パスInterrail Passの利用枠が定められている。そのInterrail Pass枠は少ないようで、今まで希望していた時間の電車に乗れた試しがない。なので自分はドイツの電車の方がフランスの電車より好きである。

自分が予約したTGVは2時間後に出発する18時6分発パリ行きのもの。それまでまた長い間レンヌ駅で待った。

「夜のパリ」
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セパスとポル大通り沿い

今日は水曜日。水曜日はルーヴル美術館が、通常の開館時間の18時より遅く、21時45分まで開館している日。だが、予定していた時刻より遅くパリに到着したのでこの予定はナシだ。

ガイドブック『地球の歩き方 ヨーロッパ編』によると、「パリでは朝でも夜でも歩かなければもったいない」と書かれている。ならば歩くしかない!北駅のロッカーから自分の荷物が取り出せるのは午後23時15分まで。それまでまだ時間があったので、ここパリ・モンパルナスから北駅まで歩いてパリの街を見ることにした。

フランス・パリというと、気取っているような場所や人が多いものだと思っていた。だが、街を歩くとそれは偏見だと気づく。セーヌ川の左岸、シテ島の南側には大学が集まり、その周りには学生街カルチェ・ラタンがある。そこにはたくさんのレストランが夜になっても賑わっている。レストランといっても気取った雰囲気はなく、とてもラフな感じ。多くの店が10ユーロ(約1300円)程度で3品コースの料理を出している。パリにしては安い方であろう。ぜひとも食してみたかったが、昼に思いっきり贅沢をしてしまったのでここは控えておいた。

シテ島を抜け、セバストボル大通りを通って北駅へと進む。セバストボル大通り沿いには歩行者天国があり、中に入るとたくさんのバーがあった。そこでは多くの人がテレビに映し出されるフランスの国際試合を見ていた。

負けているのか、みんなあまり気分がよさそうではない。
「そこだよ、くそ!」
そんなようなことを言いながら夢中でテレビ画面を見る親父の姿がちらほら。日本の親父が野球中継に熱中している姿と同じだ。どこの国の人もスポーツに熱狂する姿は同じである。

「シャルル・ド・ゴール空港へ」
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北駅に着き、23時15分、ギリギリでロッカールームに入ることができた。荷物をとりだせなければまた極寒の夜を過ごさなければならないところであった。助かった。

シャワーを浴びたいところだが、すでにこの時間、駅のシャワーは閉まっていた。

今夜これから駅で寝るのはあまり安全ではないような気がした。北駅周辺は浮浪者も多く、薬を売っていそうな黒人の姿も多く見える。親父がいきなり駅のごみ箱の前に立ち、何をやるのかと思ったらいきなりごみ箱に向かって小便をしだすのだ。衝撃的てある。駅に限らず、浮浪者のたまり安いような公園等では、尿のにおいがする場所が多い。パリは美しいイメージがあるが、それだけではない面も多々ある。濃い街だ。

そんな治安の悪そうな駅周辺で野宿するのは危険なので、空港に行って野宿することにした。北駅からシャルル・ド・ゴール(CDG)空港までは自分の持つ鉄道パスInterrail Passが使える。無料で行けるので、空港へ向かうことにした。

「空港到着」
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CDG空港

自分の乗った電車が空港行き最終電車だったようで、駅に着いたとたんに電車の電気は一斉に消えて真っ暗に。最終電車に乗れてよかった。

CDG空港はとてもきれいで、とても広い。空港駅のトイレはすでに閉まっていたので、ターミナルのトイレに向かったのだが、歩く歩道で15分程度かけていどうするはめになった。ターミナルは他にいくつもあるようだ。きっとこの空港はヨーロッパのハブ空港として機能しているのだろう。

空港駅近くには、自分と同じように野宿する旅行者がちらほらいる。ここならば安全だろうと思い、静かに寝床に就いた。

タケノコ

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