10月25日 34カ国目エジプト(1)・カイロ「旅の第二章」


カイロ:サファリホテルの窓か
 

今回の出発点はエジプト。エジプトを含めたアラビア諸国は商人の図太さで有名。トルコの商人達もそうだったが、その比ではないだろう。

 空港に着くのは夜の10時。カイロの夜は危険だというので気がかりだ。

 旅の最初に選んだ宿は「Safari Hotel」という日本人宿。今までと全く違う世界を歩くので、まずは情報収集のため日本人宿を選んだ。この日本人宿、あるサイトには「世界3大日本人宿」の一つに数えられているのだという。一体何を理由にして世界3大日本人宿に選ばれているのだろうか。自分の目で確かめたい。

 ヨーロッパの旅から帰国して約1カ月。今日、再び世界へ旅立つ。


「名古屋から成田、そしてモスクワへ」
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名古屋駅。東京行きの電車。
 昼12時離陸予定のアエロフロート・ロシア航空便に乗るため、朝5時半に出発。
 最近道を聞かれるなど、よく人に声を掛けられる自分である。今日も名古屋駅で電車から降りるとき、これから登山を楽しむためのような格好をしたおばさんが声をかけてきた。
「そんなに大きなザックを背負って、どこの山に行くの?」
「エジプトです。」
「まぁ羨ましいわ。気をつけていってくるのよ。」
 気持ちの良い朝だ。今日は良い一日になりそうだな。

 東京から成田へはいつも京成線を使っているのだが、今回は名古屋から学割が効くのでJRで行った。名古屋駅で東京から成田への電車の本数を聞いたところ、20分に一本くらいの割合で走っていると駅員が教えてくれたから問題ないと思っていたが、実際には1時間に1本~2本くらいしかない。空港に着いたのは出発1時間半前。広い成田空港で両替をし、チェックインを1時間前に済ませないことを考えるとぎりぎり。
 両替時に自分の名前をアナウンスされた時には恥ずかしかった。

 チェックインのカウンターに行き、荷物を預ける。
「モスクワでのカイロ乗り継ぎはすぐですね。荷物の乗り換えに間に合わない可能性もあるので機内に持ち込んで下さい。」
 荷物の中にナイフやシャンプーなどの液体があるのでそれは無理だった。これらを機内に持ち込むことは禁止されている。
 仕方なく荷物が遅れる可能性があることを了承し、荷物を預けた。またバックパックが行方不明になるのかと思うと頭が痛い。

 そうして、自分は前回と同じ航空会社であるアエロフロート・ロシア航空で、まず乗り継ぎ拠点であるモスクワへと向かった。

「カイロ行きの飛行機で」
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 乗り継ぎ時間は2時間。村上春樹の『ノルウェーの森』を読みながら待っていた。

 飛行機へはバスで移動。地上から飛行機に乗るのは初めてなのでワクワクした。
 席に着くと隣に日本人らしき男性がいたので声を掛けた。やっぱり日本人だった。聞くとテレビ関係の仕事をしているそうで、多忙な日々の中やっとのことで5日間連休が取れたそうだ。これまでカナダに留学したり、南米など色々な国に行っているのだとか。
 人の数だけそれぞれの人生がある。特に年上の方の話は人生経験が豊富でおもしろい。楽しく色々な話を聞かせてもらった。

「エジプト・カイロ着」
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カイロに到着したのは夜10時。日本時間だと朝5時。成田からすでに17時間が経過している。世界は広い。

空港でビザを入手し、両替をしてバスターミナルへ向かう。365番のバスに乗って市内へ向かおうとしていたが、停泊しているバスのナンバーがわからない。なぜなら全てアラビア語で書かれているからだ。

これは困ったと思い、売店の人にバスの場所を聞いた。エジプト人はとっても親切で親身が湧く。自分の持つカメラを見て、
「俺を撮ってくれ。」
と言ってくる。自分は迷わず写真を撮った。そして彼らはわざわざバス乗り場へ連れて行ってくれたのだ。優しいエジプト人だ。

バスの中でエジプト語を学ぼうと思い、ガイドブックに載っている簡単な会話を学習していた。発音がわからないので隣にいた若い男のエジプト人に声を掛け、発音を教えてもらう。彼も嫌がることなく親身に教えてくれた。
「今日はどこに泊るんだい?」
「サファリ・ホテルってとこだよ。」
すると彼は自分のガイドブックにある地図からそのホテルの場所を探して教えようとしてくれる。私はだいたいの一を把握していたのだが、彼は私が迷うだろうからと、探してくれているようだった。なんと親切な人だ。
「ごめん、わからないや。」
サファリホテルが地元エジプト人にはなじみのない日本人安宿だから当然だろう。だが、私は彼にお礼を言った。

「カイロの夜」
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バスを降り、地下鉄に乗ってホテルへと向かう。夜遅くにカイロ市街を一人で歩くのには不安を感じていたが、さっき飛行機で会った日本人と一緒に宿を探したので安心できた。

サファリホテルは5階建てのビルの5階にある。他にも日本人宿が2軒同じビル内にあった。まるで日本人のために建てられた建物のようだ。

ビルの中はすごい。螺旋階段の中心にあるエレベーターは壊れ、埃がかぶっている。もう何年もあのままなんだろう。本当にサファリホテルはあるのか。この建物が、これからヨーロッパとは全く違う旅になることを教えてくれた。

正直なところサファリホテルは賛否両論。インターネットで調べたところによるととても濃い宿で、嫌いな人は嫌いになってしまうようなところらしい。これが世界三大日本人宿と呼ばれる所以なのか。一緒に来た日本人の人は自分のサファリホテルでは不安なので下の階にある別の日本人宿に入った。

私はすでに予約してしまったこともあるが、その世界三大日本人宿の一つであるサファリホテルとは一体どんなところなのか気になったので行ってみることにした。

「サファリホテル」
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サファリホテル

サファリホテルの入口には日本人が3人。ロン毛の男が多い。3人で水タバコを噛んでいるようだ。中に入るとロビーには日本人が5人ほど座っていて、皆ホテルにある漫画に読み耽っている。早速濃い雰囲気が漂っていた。

レセプションはエジプト人。日本人宿なのに驚いた。最初英語で話しかけるが、すぐに
「いらっしゃいませ!」
と流暢な日本語を話してきた。拙い英語を話していた自分が恥ずかしい。彼は大学で日本語を勉強し、日本財団の日本語教育を受けているからここまで話せるのだとか。学校のことや旅のことなどたくさんの事を聞いてきた。親身な人だ。

1泊15ポンド(約225円)。とんでもなく安い。もう野宿をする必要はなさそうだ。

部屋のベッドを見る。やはり当然のように汚ない。上にシーツをかぶせるからまだ良いのだが、何人もの汗が染みて茶色に変色しているベットがたくさん並んでいた。これからこんな場所で生活するのが当然になっていくのだろう。正直その汚さに嫌悪を感じたが、同時に今までとは全く違う世界を体験できることにワクワクしてきた。

まだ旅は序章。これからが本番だ。

タケノコ

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