8月28日 ノルウェー(1):ナルビック「ヨーロッパ最北端」


世界の車窓から(スウェーデン・ボードン~ノルウェー・ナルディック)。フィヨルド。


スウェーデンの首都ストックホルムから電車で合計20時間。ヨーロッパの最北端に行きたい。ただそれだけの理由で電車でいけるだけ北へ向かった。

今日はほとんど電車に揺られていたわけだが、電車から見える景色はとても素晴らしいものだった。スウェーデン北部に広がる湿地地帯や、山や渓谷、そして最後にはスカンディナビア半島西海岸に出て、海が入込むフィヨルドが現れた。

そして、果たして夏にもオーロラは見られるのか。

自分の目で確かめに行った。


「初めての寝台車」
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スウェーデンの電車。北欧デザインらしく真赤なドア。

夜行列車は、シートがすでに予約で満席だったので寝台車を取った。初めての寝台車。料金は16ユーロ(約1900円)程。ホテルに泊まったものと考えて寝台車へ。

寝台車は個室となって各部屋に分かれ、ひと部屋6人まで寝ることができる。自分の部屋には4人の客がいた。二人の老夫人と一人の若い男性である。みんなスウェーデン人のようで、スウェーデン語を話している。みんな寝台車は初めてのようで、普通の座席からベットを組み立てるのに苦労した。

サービスで水のパックが付くのが嬉しい。4人しかこの部屋にはいなかったが、6つのパックが用意されていた。2つ余る計算だが、いつの間にかその2つは消えていた。飲んでもいいが、一言断って欲しいものである。

ベットはとても快適。電車の音が少し気になったりするが、座席に比べれば格段に快適に眠ることができた。

「世界の車窓から:ストックホルム~ボードン」
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ストックホルムからボードンまでは、北欧ののどかな風景を見ることができた。8月なのに、草木はもうすでに黄色く色付いている。時々見える真っ赤な家がとても自然と良く合い、かわいらしかった。

電車に乗って2時間程経ち、お昼が過ぎた。お腹が空いてきたので、車内にある売店で昼食を取ることにした。食べ物の種類はそこそこあるのだが、スウェーデン語なのでよくわからない。適当にサンドイッチはあるかと聞くと、大小2つの種類のサンドイッチが出てきた。とびっきり大きい方が50コルナ(約700円)、小さい方が25コルナ(約350円)だ。小さい方では明らかにお腹が空いてしまう。そう思って高いが大きいサンドイッチを食べることにした。

店員にサンドイッチを温めてもらうように頼むとめんどくさそうにやっている。店員は白人のおばさんなのだが、髪は短く金髪でワックスで立てている上、頭の後ろからは長い髪が流れ、結ばれている。こんなにイケイケな髪型でも問題なく働くことができるとは、あっぱれな国である。

「世界の車窓から:ボードン~ナルビック」
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この間の景色はとにかく絶景だった。初めはボードンまでと同じよううに草木が茂るのどかな風景が広がっていたが、次第に列車は谷に入っていく。その谷から見える山や川の景色はとても素晴らしい。次に見えてきたのは、たくさんの湖。この当たりは湿地帯なのか、長い距離に渡って湖を見ることができた。トンネルに出たり入ったりして、風景が途切れ途切れにしか見えないが、逆にそのもったいぶらせる感じが風景への感動を倍増させた。

たくさんの湖の中に一つ大きな湖がある。電車の車掌に聞くと、その湖はスウェーデンで5番目くらいの大きさだという。その海岸沿いにはキャンピングカーが多く止まっていた。絶好のキャンピングスポットなのだろう。

終点のナルビックに近くなってくるとフィヨルドが見えてきた。フィヨルドは氷が溶けることで山が削られてできた入り組んだ海岸だ。フィヨルドに面する海は北極海に通じる。ついにここまで北にやってきたのだ。フィヨルドは大きな谷だ。その壮大さにはとても魅了された。

「欧州最北端の街:ナルビック」
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電車で行ける欧州最北端の街:ナルビック

午後17時4分、電車は鉄道でいける欧州最北端の街ナルビックに到着した。

とても寒いのかと思って上着を着て電車を出たが、思ったより外は寒くなかった。むしろ暖かいぐらいで、上着が暑かった程。

電車で知り合った二人の若いカップルも、宿を何も取らずにナルビックにやってきたので、地図を見て良い場所を一緒に探した。どうやら近くにキャンプ場があるようなので、私はカップルに別れを告げ、一人でキャンプ場へと向かった。

北欧最北端の街と言うので、何もない小さな村だと思っていたが、意外と大きな町が広がっている。駅の近くにはラッキーなことにスーパーマーケットがあり、そこでキャンプで食べる食糧を購入した。購入したのは、朝食用にバナナとキウイ(合わせて約100円)、そしてビスケット(5コルナ:約83円)。夕食用に、パスタ1kg(10コルナ:約160円)とトマトの缶詰1缶(4.5コルナ:約80円)だ。ノルウェーも他の北欧諸国と同じように物価は高いが、スーパーでは物を選べば安く購入できる。物価の高い北欧を旅するバックパッカーにとってスーパーは天国のようなところである。

「清流の流れる小さな公園」
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食糧を調達したところでキャンプ場へ向かった。だが、キャンプ場とはいったいどれだけお金がかかるのだろうか。ここは北欧である。きっとホテルに泊まるくらいの高い値段を請求されるに違いない。

ナルビックは少し大きな町だったが、たくさんの素晴らしい自然に囲まれている。地図を見ると、海岸沿いに空き地があたので、そこにテントを張ってキャンプをしようと思った。

海岸を歩いていると、自転車に乗って犬の散歩をしている白ひげを生やしたおじさんがいた。場所によっては法律でキャンプが禁止されているところがあるので、おじさんにこの場所でキャンプすることは違法か否か聞いてみた。すると、
「いや、ここは違法じゃないけどね…でも、キャンプするなら近くにもっといい場所があるよ。」
そう言って、草木が生える茂みの中の小道に案内され、その先を行くと、清流が流れる野原に出た。
「ここがそうさ。近くにきれいな川も流れているし、こっちの方が広いだろう。」
キャンプするにはもってこいの場所である。キャンプ場にお金を払ってテントを張るより、こちらの方が断然良さそうだ。
ここに来た目的の一つにオーロラがあったが、果たして今の時期見ることができるのだろうか。おじさんに聞いてみた。
「今は見えないよ。最後に見たのは…そうだな、今年の3月頃かな。」
夏にオーロラを見ることは不可能のようだ。残念である。
「おじさん、ありがとう!」
私はそう言って別れを告げた。

「ナルディックでキャンプ」
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早速テントを張ったあと、夕食の支度をした。夕食はトマトパスタ。火をおこすガスバーナーのガスがもう少ない。料理している間に切れてしまうんじゃないかと心配したが、なんとか持ってくれた。

腹が減っていたので、パスタを300gも茹で、トマトを一缶丸ごと鍋に入れる。持ち合わせのカレーペーストや、塩、コショウ、鶏がらスープの素を入れ、パスタは完成。

自分で作ると安くてたくさん食べられるので良い。パスタをすべて平らげ、とても満足だ。















「フィヨルドの夕焼け」
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フィヨルドの夕焼け

夕食を食べた後、テントに鍵をかけて貴重品だけ持ち出し、海岸沿いを散歩した。

もう9時だというのに、まだ日は昇っている。ここまで北に来ると、白夜まではいかないが日はとても長い。海岸沿いには野原が広がり、机と椅子が並べられている。そこに地元の老夫婦が一緒に談話していて、とっても愛らしかった。

奥に進むとボート置き場があり、この時間だがまだボートで楽しんでいる人々がいた。フィヨルドは入り江なので波が少ない。ボートを楽しむのにとても適した場所なのだろう。

夕方なので日は赤くなり、水面もその色に染まっている。その景色はとてつもなく美しい。夕方になるにつれてだんだん肌寒くなってきていたが、その景色を見て気持ちが暖まった。

辺りが暗くなってきたのでテントに入る。私が寝ようとしていた23時頃。空を見上げると西の空がまだ光っていた。こんな時間になっても太陽が完全に沈むまない。まるで時間が止まったようだった。

タケノコ

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