8月26日 デンマーク(2)首都コペンハーゲン&スウェーデン(1)マルモ:「北欧へ」


北欧は当初行く予定ではなかった。だが、超特急列車ICEでデンマークの首都コペンハーゲンまでなんと4時間。さらに通常自分のもつ乗り放題券Interrail Passで国際列車や特急列車を乗ると追加料金がかかるのだが、コペンハーゲンは無料だというので、つい立ち寄ってしまった。

北欧はまた西欧、東欧とは違った雰囲気があるのだろう。ジブリのサイトによると、映画『魔女の宅急便』の舞台として「大いに参考にした」都市としてスウェーデンを上げている。同じ北欧のデンマークにもきっと美しい街があるのだろうと期待は膨らむ。

ただ、一番心配なのはやっぱり物価である。私が旅先で会ったデンマーク人は、
「デンマークは世界で一番物価が高い国なのよ。」
と誇らしげに言っていたのを覚えている。それが真実が否かはわからないが、高いことには変わりないだろう。当初北欧をプランに入れなかったのも、物価の問題があったからなのだ。

北欧は一体どんな国なのか。自分の目で確かめに行った。

「空港起床」


デンマークの首都コペンハーゲンにも15ユーロ(約1950円)の安宿は存在したが、北欧ではほかの部分にお金をたくさん使うだろうと思って節約のために空港で寝た。いつもなら電車の駅などで寝るのだが、駅には正直物騒な人もいるし、深夜に一度追い出されることもあるので、今回は空港に行って寝た。コペンハーゲン中央駅から約15分の距離だし、乗り放題券InterrailPassを持っていたので空港へはアクセスしやすかった。

空港はとてもきれいで、もちろん24時間開いている。駅でトイレに入るとお金がかかるのだが、空港のトイレではそんなことはない。今度から近くに空港があれば空港で野宿することにしよう。

「朝食」



空港から電車で再びコペンハーゲン中央駅に到着。何か朝食に良いものはないか探す。だが、やっぱり駅だからということもあるが、どれも高い!

いつも食べるバナナ。ドイツでも一本50セント(約65円)程である。だが、コペンハーゲンの駅ではその倍、一本6コルナ(約120円)である。マックのハンバーガーも「Good Value」と書かれて10コルナ(約200円)。「Good Value」とは言い難い。マックの向かいにある店では、パンにソーセージを挟んだだけのホットドックが45コルナ(約900円)もする。食べ物は何もかも高いデンマーク。駅の中で朝食を済ますのは、自分にとって不可能だと思い、駅の外に出てスーパーを探す。駅の西側に、幸運にも果物屋があった。果物は安いはず、そう信じて果物屋に向かう。

北欧も果物は量り売り。プラムとモモ二つの値段を聞くと、4コルナ(約80円)だという。果物の値段は他国と比べて少し高いが、十分な許容範囲の内にある。さらにバナナを入れて8コルナ(約160円)と店員が言うと、私は渋い顔をした。バナナ一本の値段がももとプラム合わせた価格と同じだからである。店員はその顔を見て、
「じゃあ6コルナ(約120円)でいいよ。」
とまけてくれた。これでやっといつもの私の朝食と同程度である。

「無料レンタル自転車」



待ちに待ったコペンハーゲン市内散策だ。コペンハーゲンには見どころがたくさんあるばかりか、街自体が美しい。そんな街を歩くのがとても楽しみだった。

コペンハーゲンには無料でレンタルできる自転車がある。その自転車はどこかと探して中央駅で見つけたのは有料のレンタル自転車。料金は一日65コルナ程(約1300円)したと思う。とても高い。無料のはないのかと、駅のインフォメーションに聞くと、駅の東側にあるという。正確な場所が分からなかったので、駅の東側にいた通りすがりの人に聞いてみると、丁寧にその無料自転車の場所まで案内してくれた。デンマークの人はとても親切である。

だが、残念ながらその場所にあるはずの自転車はすでに全て出払っていた。しょうがないので、いつもの通り歩いて市内を散策することにした。

「デンマーク人」


ここで気づいたのが、デンマーク人はとっても旅人に優しいだけでなく、通りすがりの人は大抵英語が話せるということである。多くの国では、若者だったら話せる人がちらほらいるが、他の人々はあまり英語が通じなかったりする。だが、デンマーク人はどんな人にも関わらず大抵の人が英語を話すことができるのだ。

デンマークは先進国の中の先進国といわれる程様々な社会システムが発達している。教育も例外ではない。ほとんどの人が英語を話すこの環境は、この教育水準の高さを裏付けるものではないだろうか。

「繁華街:ストロイエ」



まず私が向かったのが、市内の歩行者天国で繁華街であるストロイエ(Stroglet)。この通りには一般大衆向けの店から高級品まで様々な店が並んでいた。ブティックショップもたくさんあり、値段はどれだけ高いのだろうかと見たが、思ったより高くはなかった。T-シャツが2000円くらいで買えたし、パーカーも3000円くらいで売っている。

通りにはH&Mが2軒もある上、この通り以外にもたくさんの場所にH&Mは存在した。日本には最近進出したH&M。安くていいものが売っているので、これから日本でも店舗を増やしていってほしい。



有名な高級ロイヤルコペンハーゲン(Royal Copenhagen)のお店もあった。中に入ってみると、たくさんの陶磁器が良いレイアウトで並んでいる。陶磁器は現代風のデザインと和風のデザインが合わさったような感じだ。どことなく和風のテイストがあるのは、ロイヤルコペンハーゲンは古くから日本の有田焼の影響を強く受けていたからだと思われる。店内では職人が皿に絵を入れているところを見学できるところがあった。まだ開店して間もなかったので、職人さんは準備をしていただけだったがその顔つきはすでに真剣そのものだ。この職人さんが作る皿はきっとどれも素晴らしいのだろう。

海沿いに広がる美しい街並み



次に向かったのはニューハウン(Nyhavn)。この場所は、まさに北欧の美しい街並みが広がっている。中心にきれいな海が流れ、両側にカラフルな建物が並んでいる。街によっては何も手入れがされていないとても古い建物ばかり並ぶところもあるが、このニューハウンはそんなことない。どの建物も美しい。

海にはたくさんのヨットが浮いている。木製のものが多く、街のクラシカルな雰囲気を際立たせていた。

通りにはたくさんのレストランが並んでいる。ぜひともこんな素敵な街で食事を取りたいところだが、ここはデンマーク。やはりどこも高い。レストランに入ることなど私には不可能である。

「宮殿へ」



ニューハウンを抜け、広い海に出る。そして海沿いを歩いていると、今までクラシカルな建物ばかり並んでいたが、こんどはとてもモダンな建物が現れた。

洗練されたデザインでとてもおしゃれである。コペンハーゲン…どこにいってもおしゃれである。

モダンな建物を抜け、次に現れたのはアメリエンボー宮殿。デンマークの正式名称は「デンマーク王国」。今でも王室が存在する国。その王家が住まう場所がここアメリエンボー宮殿である。

宮殿に四方に囲まれた広場がある。その両脇にはデンマークの伝統的衣装であろうものを着た衛兵が警備している。もちろん彼らは観光客の標的。みんな写真を撮りまくる。撮られまくれて、衛兵はどんな気持ちなんだろうか。だが、私も写真を撮らせてもらった。

衛兵の上着等が掛けられている小屋にはハート型の穴が空いている。なんだか愛らしいデンマークの衛兵だ。

「教会(Mable)へ」



宮殿を抜けるとドーム状の大きな教会がある。ベルリンにあった教会と同じ様な形をしている。

中に入ると、天井にたくさんの聖人の姿が描かれ、壁にはたくさんの細かい彫刻がなされている。このようなドーム状の教会にいると教会全体が高い天井へと吸い込まれるように感じる。とても神聖な雰囲気だ。

「世界3大がっかり」



世界3大がっかり。期待していたがあまりのしょぼさにがっかりする世界で3つのもの。シンガポールのマーライオン、ブリュッセルの小便小僧、もう一つがここコペンハーゲンにあるマーメイド像(人魚姫の像)だ。

正直、自分は恥ずかしながらこのマーメイドの存在を元々知らなかった。なので期待がない分がっかりはしなかった。

実際に見てみるとマーメイド像は小さく、確かにどこにでもありそうな像である。これが何故コペンハーゲンのシンボルかは全く理解できない。

だが、この人魚の姫像は何度も破壊され、頭部を盗まれ、赤ペンキを塗られた歴史があるのだとか。悲惨な歴史を持つ上、世界三大がっかりの一つとして揶揄されながらコペンハーゲンのシンボルとなっている人魚の姫像。なだかかわいそうな像である。

「デンマークのスーパーへ」


人魚の姫像を見た後、隣接する城に行った。城の中にある建物はとってもカラフル。まさに北欧という雰囲気だった。

城を出て、昼食を取るための場所を探す。だが、やっぱりどこも高い!どの国に行っても安くてお腹が膨れる料理を提供してくれる中華料理屋。ここでさえも、最低35コルナ(約700円)した。サンドイッチ等で済ませようとしても500円以上はする。何か良いものはないかと探していると、スーパーマーケットがあった。ここなら何か安くてよいものが売っているはずだと中に入る。

だが、スーパーには料理の材料はたくさん売っているが、そのまま昼食になりそうなものはなかなか売っていない。唯一チーズバーガーが売っていたが売り切れだった。

ヨーグルトを見てみると、コンフレーク入りでなんと2.95コルナ(約60円)で売っていた。ヨーグルトだけは他国と変わらずに安く売っているようだ。とてもお腹が空いていたので、お腹の足しにとそのヨーグルトを購入した。

店を出てしばらく歩くと再びスーパーが。そこにはパンが4つで5コルナ(約100円)で売っていたのでそれを購入。何の味もないパンだけでは寂しいが、味付きのパンは一気に200円を超す値段となるので我慢した。

「ロイヤル・ガーデン」


近くにロイヤルガーデンがあったのでそこで昼食をとった。ロイヤル・ガーデンは広い芝生が広がる公園。あるグループがそこで野球のようなゲームをしていた。野球と同じようにバッターがいるのだが、ピッチャーはいない。細いバットを持って、トスされるテニスボールを打ってベースを回るゲームのようだ。トスする球なら誰でも打てそうだが、意外とみんな打てていないのがおもしろい。細いバットに命中させるのが難しいようだ。

ロイヤルガーデンの隣には宮殿があり、そこには博物館ンがあるのだが、入場料が高いので入らなかった。

「コペンハーゲン無料サイクリング」


電車の駅があり、そこにコペンハーゲン市内を無料で走ることができる自転車が置いてあった。朝中央駅でこの自転車を探したときには全て貸し出されていたのでラッキーである。

自転車に20コルナコイン(約400円)をデポジットとして入れ、自転車を走らせた。この自転車にはハンドルにブレーキがなく、ペダルを逆に回すとブレーキが利く仕組みになっている。なのでブレーキをかけにくいのでスピードをそこまで出せない。サドルはとても高い。自分の背がもともと小さいこともあるが、ギリギリ地面に足が届く程である。

コペンハーゲンには、先にも述べた通り、自動車の車道と合わせて自転車の車道がある。そこを走るわけだが、皆細いタイヤの自転車を結構なスピードで走り回す。自分もそのスピードに合わせて走りたいところだが、ブレーキをかけづらいのでなかなかスピードが出せない。あんまりスピードが出ないので、スピードが速い自転車の邪魔となってしまった。コペンハーゲン市民のみなさん、申し訳ない!

「カールスバーグビール工場へ」



当初あまりスピードが出せなかったが、このタイプのブレーキに慣れてくると少しづつスピードが出せるようになってきた。慣れはすごい。歩くより数倍のスピードで移動でき、コペンハーゲンの街を快走できるのでとても気持ちいい。

地図に書かれていた観光スポット、Christinaへ自転車で向かって外観を見た後、中央駅に戻った。自転車置き場にある無料自転車の鍵を差し込むと、デポジットの20コルナコインが返ってくる。自転車が無料で借りられるとはなんとも便利なシステムだ。

コペンハーゲンには、欧州中で売られているカールスバーグビールの工場があり、中央駅から2,3駅で行ける。インターネットで調べたところによると、ここカールスバーグのビール工場は無料で見学できる上、ビールを2杯飲むことができるという。

できたてのビール、一度味わってみたい。これは絶対に行かねばなるまい。

カールスベアビール工場の近くにある駅を降り、工場へと向かう。ここへ向かう電車にも鉄道パスInterrail Passが使える。このPassはとても便利だ。工場の敷地は広い。工場内の通りには4体の象像が置かれている。工場にある建物もどこか東洋の雰囲気がするのだが、この4体の象は何を意味するのだろうか。

工場内にある地図を基に、やっとのことでビール工場を見学できる「カールスベアビール・ビジターセンター」の入り口を発見。ビジターセンターの外にはビアガーデンがあり、みんなビールを楽しんでいる。自分も早く飲みたい!胸を躍らせてセンターに入口に差し掛かる。

すると男2人組が、
「俺達と一緒に工場入らないか。そしたらグループ料金で割引になるんだよ。」
この工場見学は無料だと聞いていた。なので割り引かれる必要はない。なので断った。

しかし、受付に行ってみると、入場料金が60コルナ(約1200円)もかかるというのだ。ネットには無料だと書いてあったが、それは遠い昔のことであるらしい。ただ、15人以上のグループなら40コルナ(約800円)。800円ならばまだ許せる金額である。さっきの男2人組がまだグループを集めていたので、自分も入れてもらうことにした。だが、自分を入れても結局15人集めることはできなかった。仕方なく正規料金で入ろうと思ったが、冷静に考えてみるとビール2杯を飲むために1200円である。割に合わないので、せっかくここまで来たが工場に入ることをやめた。

そして中央駅に戻ってカールスベアビールを購入。10.50コルナ(約200円)だった。欧州中で売れているだけはある。とてもおいしかった。

「スウェーデン:マルメへ」



コペンハーゲンからスウェーデンへは、電車でデンマークとスカンジナビア半島をまたぐ世界最大級の橋を渡り、30分程で行くことができる。コペンハーゲンに訪れた後はすぐにドイツに戻ってそのまま南に下ろうと考えていたが、30分程度でスウェーデンに行けるのならばと思い行ってみた。

マルメ中央駅を降りまずスウェーデン・コルナのレートを調べる。そして駅にあるバーガーキングの値段を見てみると、ハンバーガーの値段は10コルナ(約130円)。デンマークのハンバーガーが10デンマーク・コルナ(約200円)だったのと比べると、スウェーデンの方が安いようだ。

だが、街に出てレストランの価格を見るとやはり高い。どこも1000円以上はした。ただ、朝と昼に節約したのでとてもお腹が空いていた。だから夕食くらいはお腹が膨れるものを食べようと、比較的値段が手頃でお腹がいっぱいになる中華料理屋で、麺や春巻きが入った「China Box」を購入。手頃と言っても49コルナ(約720円)したが、スウェーデンでは手頃な方である。

麺がたくさん入っていてとてもお腹がいっぱいになった。久し振りに食べた春巻きも味が濃くておいしい。

お腹がいっぱいになったところで、再びマルメ市内を散策した。マルメ市内には川が流れていて、そこで家族でカヌーを楽しんでいる姿を良く見かけた。公園に行くとランニングしている人がたくさんいる。この辺りにはスポーツ好きの人がたくさんいるようだ。

市内にはビーチがあり、その手前には壮大な草原が広がっている。そこで飼い犬が思いっきり走っていてきもちよさそうだった。100mくらい離れたところから、犬の飼い主であろう子供が犬の名前を叫ぶと、犬は思いっきりダッシュして子供のもとへと向かう。その光景はとっても愛らしかった。


「ストックホルムへ」


スウェーデンはこのマルメだけにしてすぐにドイツに戻ろうと考えていたが、スウェーデンを知るにはマルメだけでは足りなかった。コペンハーゲンからスウェーデンの首都ストックホルムまでは夜行列車がある。ストックホルムはあのジブリ映画「魔女の宅急便」のモデルとなった都市。魔女の宅急便は、ジブリの中でも特に自分が好きな映画。そこに登場する街並みはとても美しかったのを覚えている。

今なら鉄道パスで指定席料金5ユーロ(650円)程度でストックホルムに行けるのだ。こんなチャンスはない。そう思い、私は荷物を預けてあるコペンハーゲンの駅に一度戻った後にストックホルムへ向かった。

タケノコ

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