9月13日 スイス(2)首都ベルン~Neuchatel~セント・モリス:「氷河急行とベルリーナ急行」


世界遺産Thusis-St.Moritz路線の車窓。アルプスの山々。

ついにスイスにやってきた!スイスといえばアルプス!3000~4000m級の山々が連なる。この辺りの山の斜面は急で、まるで大きな壁のようなところもあり、迫力満点だ。

スイスには登山鉄道がたくさんあり、そ窓から見える景色はすばらしい。中でも人気なのが「氷河急行」、「ベルリーナ急行」、そして「ゴールデンパスライン」。

どの列車もアルプスの僻地を走る。その僻地に鉄道を走らせる技術もまたすごい。その素晴らしい景色と技術力の高さから、「氷河急行」と「ベルリーナ急行」が通るThusis-St.Moritz間は世界遺産に指定されている程。

是非「氷河急行」や「ベルリーナ急行」に乗って電車の旅を満喫したいところだが、自分の持つ鉄道パスInterrail Global Passは使えず、鉄道料金はものすごく高い。特に、スイス中に通る登山鉄道は2時間の距離で往復1万円を超える。ヨーロッパで一番高い場所(標高3454m)を走る「ユングフラウ鉄道」は、麓のインターラーケンから頂上のユングラウヨッホまで往復約180フラン(16200円)もかかってしまうのだ。

自分のようなバックパッカーはInterrail Global Passが使える路線で旅をするしかない。

ただ、先に述べた世界遺産の路線、Thusis-St,Moritzには普通電車も通っており、Interrail Global Passで乗ることができる。これは行くしかない。

人気列車「氷河急行」と「ベルリーナ急行」が通る世界遺産の路線は一体どんな路線なのか。自分の目で確かめに行ってみた。


「スイス人のお宅で起床」
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朝10時に起床。昨日もっと早く出て行くと言っておいたが、寝るのが遅かったのでいつのまにかこんな時間になってしまった。

昨日たまたま電車で知り合ったスイス人のお宅。久し振りのベットで、とってもぐっすり眠れた。

起きて部屋を出ると、彼はパンとバター、はちみつに紅茶の朝食を用意して待っていてくれた。なんと、優しい人であろうか!

朝食を食べ終わると、犬の散歩と一緒に駅まで案内してくれた。聞くと、自分のために予定をずらしてくれたのだとか。本当に申し訳ないが、こんなに優しくしてくれるいる人がいるとは。本当に感謝である。

「Neuchatelへ」
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彼に聞いた、スイスで一番美しいところ、それがベルンから40分程離れたNeuchatelという街だ。
「そこは世界で3番目にきれいな場所だよ。」
3番目?世界で?そこまで言われたら行くしかないだろう。早速電車で向かうことにした。

「首都ベルン観光」
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時計塔

Neuthatel行きの電車までまだ時間が中央揃え50分くらいあったので、バックパックを背負ってベルンを見て斜体回ることにした。

今日は日曜日だからか、駅前の店以外やっぱりどこもお休み。メインストリートであろうこのシュピタル通りの人影は少ない。

首都ベルンは、ここが本当に首都かと思うほど小さな街街の周りには谷があり、その底にはアーレ川が流れる。街を少し離れるともうそこには森があるのだ。ベルンのシンボルはクマ。街のいたるところにクマの銅像が置かれている。少し街を離れると本当にクマが出てきそうな雰囲気である。

だが、またそののどかな雰囲気が良い。

街の中心には世界遺産にも登録されている時計塔がある。時計に描かれているレトロな絵がこの街に良く似合う。

短い観光だったが、ベルンを十分に楽しむことができた。




「Neuchatel到着」
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ヌーシャテルNeuchatel湖

ベルンを離れ、Neuchatelへ。
「世界で3番目に美しい。」
と言うが、『地球の歩き方 ヨーロッパ編』にこの街は載っていない。本当にそうなのかと思ったが、現地に住むスイス人が言うのだから確かなのだろう。穴場かもしれない。
斜体
駅を出ると、そこは丘の上。丘の上からは大きな湖Neuchatel湖が広がる。そこからの景色は美しかったが、世界で3番目というからにはまだ何かあるのだろうと期待して丘を降り、湖岸へと向かう。

湖岸へ行くと、芝生が広がる大きな公園があった。辺りを見渡す。湖の水はきれいで、透明度は抜群に良い。さすが自然の宝庫スイスである。人の数も少なく、とても穏やかな雰囲気だ。

だが、湖から高くそびえるアルプスが見えるわけでもなく、街にある建物も他の街にあるものとそこまで変わらなかった。この街のどのあたりが世界で3番目なのだろうか。湖の透明度だろうか。残念ながら何もつかめぬまま、Neuchatelを出発し、次の目的地へ向かうことにした。

「世界遺産の路線」
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次に向かったのは冒頭で紹介した世界遺産の路線。この路線は人気の高い氷河急行とベルリーナ急行が通る路線。自分の持つ鉄道パスが使えるのならば行くしかない。

Neuchatelからベルンに戻り、そこからチューリッヒ、で乗り換え、クールへと向かう。クールからセント・モリス間を普通電車が走るのだが、その間のThusis~St.Moritz間が世界遺産に指定されている。距離は約2時間。日が出ているのは行きだけだが、その風景をたっぷりと堪能するには十分な時間である。

電車からの風景は思った以上に最高だった。電車は川の傍を走るのだが、その色はエメラルドグリーン。電車はどんどん山へと登って行き、やがて山の裾を走るようになる。そこからは深い谷が見え、高くそびえるアルプスの山々に囲まれる。そのスケールの大きさには圧倒される。自分がとっても小さくなったような気分だ。

電車はいよいよアーチ状の石造りの橋を渡る。だが、橋は現在改修工事中。今年中には終わるそうだが、今回は赤いシートに覆われてその姿を堪能することはできなかった。残念である。

「セント・モリス(St.Mooritz)到着」
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St. Moritz

電車の終点、セント・モリスへ到着。駅にはたくさんの言語で「ようこそ」と書かれている。スイスには日本人の観光客が多いのか、電車の中や駅名、パンフレットにいたるまでさまざまなところで日本語表記を目にする。こんなに日本語表記がある国は初めてだ。国土の3分の2を山地が占める日本。同じく山が多いスイスは、日本人好みなのかもしれない。

ここから再び折り返してクールに戻るわけだが、せっかくなので街を散策することにした。

氷河急行の始発駅だからだろうか、この町には観光施設が多い。丘に登るとルイ・ヴィトンやプラダなどの高級ブティックショップが並ぶ。こんな山奥に来てまで
ルイ・ヴィトンを買う人はそんなにいるのだろか。

大きな湖も広がり、水面に映る高い山や街の風景が良い。近くのベンチに座ってその美しい風景をしばらく眺めていた。

スイス料理でまずはじめに思いつくのが「チーズ・フォンデュ」。チーズ好きの自分、チーズ・フォンデュは絶対に食べたかった。

クールに戻る電車の出発時刻までまだ時間があったので、どこかチーズ・フォンデュを出す店はないか探す。だが、今日は日曜日だからか、すべての店が開いているわけではない。開いている数軒の店を訪ねたが、なかなかチーズフォンデュが売られている店は見つからなかった。一軒だけメニューに書かれていたが、18時までだという。時刻はすでに19時を回っていた。何故18時までなのだろうか。気になるところである。

代わりとなる夕食を探すが、なかなか安くてよいものが見つからない。現地の食べ物でないようなものにあまり高いお金を使いたくなかったのだ。駅に売られているサンドイッチ類でも6フラン(約540円)はした。ただのサンドイッチにそんなにお金を使いたくなかったので、持ち合わせの食パンで我慢することにした。

「インターラーケンへ」
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午後20時4分、電車に乗って再びクールへと向かう。今回はもう辺りは暗くなっているので美しい景色は見えなかった。

クールに到着し、次の目的地インターラーケンへと電車を進める。クールからチューリッヒへ行き、チューリッヒから首都ベルンへ。そして首都ベルンからインターラーケンへ向かう。約6時間の長旅だ。

「ベルンで立ち往生」
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首都ベルンに到着し、インターラーケン行きの電車に乗ろうとした。だが、インターラーケン行きの電車が来るはずのプラットホームの案内板には何も書かれていない。おかしいと思って時刻を見てみると、電車の発車時刻は過ぎていた。自分がベルンまで乗ってきた電車は遅れていたようである。自分が乗る電車はインターケルン行き最終電車だったので、もう今日インターケルンに行く方法はないのだ。

『地球の歩き方 ヨーロッパ編』には、「スイスの鉄道は世界で最も正確と評されている」と書かれている。だが、電車は遅れ、接続のために待ってもくれない。自分を泊めてくれたスイス人いわく、「スイスの電車はいつも遅れるんだよ。」と言う。「世界で最も正確」というのは誰が評したのか。日本の電車の方が正確である。この文はあてにならない。

「ベルンの治安」
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さて、ここベルンの駅で野宿をしなければならなくなったのだが、昨日泊めてくれたスイス人いわく、
「ベルンの治安は悪い。よくファイトをしているのを見かけるよ。」
そんなベルンで野宿したくはなかったが、もう電車が何もない状況ではせざるを得ない。この時間では安宿を探すのも困難だ。

ベルン駅に隣接するバスターミナルにひとまず腰をおろしていると人相の悪い男が一人やってくる。すると片言の英語で、
「車のガソリンがなくなって家に帰れない。10フラン(約900円)くれないか。」
こうした話は大抵嘘である。
「金あるならホテルに泊まってるよ。」
そう言うと男は諦めて帰って行った。

バスターミナルにいるとまたお金を要求されそうだったので、駅の中に入る。すると、大きな声で叫ぶ男がいるではないか。そして男は自分に近づいて、
「5フラン(約450円)持っていないか。」
とまたお金を要求された。ないと言って断ると、
「これからどこに行くんだ?]
「インターラーケンだよ。」
「何するんだ?」
「まだわからない」
そういった会話をした後、男は自分から離れ、駅にある公衆電話の受話器を思いっきり蹴って去った。

ほんの10分間でこんなに怪しい人々に出くわしたのは初めてである。治安は良いと思っていたスイス。スイス人の言っていた言葉には間違いないようである。

だが、駅で寝る以外自分には選択肢がなかった。公園等もあったが、外は目立つのでよけいに危ないような感じがした。駅ならば誰にも見つからないような場所があると思い、探す。寝ている時に警官に見つかって起こされても嫌である。

駅の上層階の方に行くと、誰も来ないような死角があったので、そこで寝ることにした。

タケノコ

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