12月18日 タンザニア(1) ザンジバル&ダル・エル・サラーム 「タンザニアの真珠と悪夢」



初めての東アフリカ。東アフリカはライオンキングのような世界が広がっている。ケニアとタンザニアの間にはたくさんの国立公園があり、そこにはアフリカゾウやシマウマ、ライオン、キリン、シマウマなどが多く生息している。

今回訪れたのはタンザニア。タンザニアには動物達はもちろん、海行けば白い砂浜と青い海が広がり、赤道付近なのに雪が積もるアフリカ最高級の山、キリマンジャロ山が高く聳え立つ。自然が豊かで美しい国だ。

だが、タンザニアに限った事ではないけれど、アフリカの特に都市部の治安は悪い。ここタンザニアの中心都市ダル・エル・サラームも例外じゃない。

自分は今日、タンザニアの美しさを知ると同時に、その暗い部分を直接体験した。

「タンザニアの真珠、ザンジバル」


カイロ発のエジプト航空でダル・エル・サラーム国際空港へ朝7時頃到着。空港で14日間有効のトランジットビザを30米ドル(約2700円)で取得。通常のビザは50米ドルかかるけど、あまり長く滞在しない自分はトランジットで十分だった。

タンザニアの中心都市ダル・エル・サラームの治安は悪い。あまり市内のバスには乗りたくない。タクシーは市内まで25米ドル。そして市内からザンジバルまで35米ドル。合計すると、ザンジバルまで飛行機で行った方が早くつくし、経済的だから飛行機でザンジバルへ向かった。

ザンジバルは昔、イスラム教国オマーンから来たアラブ商人の、アフリカへの出入口として栄えた。そのため、イスラム教徒がほとんど。イスラム教が主流の地域は過激派がいる場所を除いて治安が安定していることが多い。このザンジバルも例外じゃなかった。

ザンジバルには、白い砂浜が広がって近くにダイビングスポットがあるなど海がとても美しい。そして面白いのが人々が被っている帽子。この帽子、オマーンにいる人々が被っている帽子と全く同じなんだ。今でもザンジバルとオマーンは繋がっている。

アラブ商人は何で儲けたかと言うと奴隷貿易。街には奴隷市場の跡などがあり、昔の暗い歴史が今でも残っていた。

「ダル・エル・サラームの悪夢」


タンザニアの首都ダル・エル・サラーム。一般に治安が悪いと言われるところにスケジュールの都合上、夜到着。

こんな治安が悪いところでの夜移動は絶対タクシーを使うようにと、日本のガイドブックにも欧米のガイドブックにも書いてある。通常タクシーは使いたくないけれど仕方なく乗ることに。

集まってくるタクシー。いつものように値切り交渉。どのタクシーに聞いても10000タンザニアンシリング(約600円)以下にならなかったけれど、一台のタクシーでない一般車が、

「8000シリング(約480円)でいいよ。」

と言ってきた。喜んで乗ることに。帰りのついでに乗せてあげるというのはよくあること。

だけど、それが失敗だった。


乗ってしばらくすると暗い路地を通り、運転手の仲間が突然3人乗ってくる。後部座席にいる自分を真ん中に挟み、タクシーは発進。暗い路地を進み続ける。

「有り金とカメラよこしな。俺達はソフト・マフィアだ。言うことを聞けば何もしない。」

ソフト・マフィア?最初意味がよくわからなかった。お金をそんな持っていないと言うと、腰に巻かれているマネーポケットへ手を入れてくる。日本人がここに貴重品を隠していることはバレバレみたいだ。手慣れている。

出てきたのはパスポートとクレジットカードの領収書のみ。現金はそこに入れていなかった。すると、

「クレジットカード、キャッシュカード全部よこせ。そして暗証番号を教えろ。嘘ついたらタダじゃおかないぞ。」

抵抗したら何をされるかわからない。全て差出し、暗証番号を教えた。そうしたらソフトマフィアはすぐに人通りが少ないATMへ向かう。

だが、正直なところ現在お金をトラベラーズチェックで工面しているので、口座には現金がそれほど入っておらず(1000円程度)、クレジットカードのキャッシング機能も万が一の場合に備えて止めてある。トラベラーズチェックはばれていない。ソフトマフィアがATMから得たのはなんとゼロ。

結局彼らは自分の財布から100000タンザニアシリング(約6000円)とカメラを奪っただけ。

「自分達はソフトマフィアだ。パソコンには興味がない(日本語版だからだろうか)。残金0でも困るだろう。」

と言って10000タンザニアシリング(約600円)をキャッシュバック。
……ソフトだ。

「大使館とか警察には絶対に行くなよ。」

ソフトマフィアは捜査が及ぶのを恐れている。そこで、

「10000シリング(約600円)じゃ大使館に行ってお金を借りて日本に帰る方法しかなくなってしまうんだ。だから助けて下さい。」

と言うと、もう25000シリング(約1500円)キャッシュバック。
……やっぱりソフトだ。

ソフトマフィアは自分を安宿街の近くに降ろし、去って行った。良い場所に降ろしてくれるものだ。
……最後までソフトだった。

だけど当然、宿では彼らの事を一言も言わなかった。いつ噂を聞きつけて再びやってくるかわからない。バスで10時間離れた町の警察署で被害届を出した。


結局被害に遭ったのは現金4500円相当とデジタルカメラのみ。デジタルカメラは海外保険に入ってるので日本に帰ればお金が降りる。正直今デジタルカメラがないのは痛いけど、大きな被害に遭う可能性があったのに奪われたのが少額だったのが救い。

そして奴らがソフトマフィアで良かった。この危険地帯、本当のマフィアがでてくれば銃やナイフで脅し、戦利品の少なさうえ怒り、最悪の事態になったことも考えらる。

「不幸中の幸い」とはまさにこのことだろう。



5日後に控える帰りの飛行機は夜でも昼でもタクシーを使って市内を移動しなければならない、東アフリカ一治安が悪いケニアの首都ナイロビ。
話を聞いた現地人は自分に言う。

「ハクナマタタ(問題ないさ)。」

貧困、経済格差などの大きさから生まれてくるのだろうこの現状。比較的少ない代償でこの身をもって実感できたから運が良かった。もうそう考えることにした。


町や村を歩いていると、

「How are you?」

無邪気に英語で声をかけてくる子供達。心が癒される。

世界には色々あるんだなぁ。

タケノコ

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