8月31日 フィンランド(2)首都ヘルシンキ:「映画『かもめ食堂』の舞台」

映画『かもめ食堂』

北欧には当初行く予定はなかったが、鉄道パスで無料で行けるので、とうとう北欧で一番東側に位置するフィンランドの首都、ヘルシンキまでやってきてしまった。

ヘルシンキといえば、映画『かもめ食堂』の舞台。実は自分、ジジ臭いのだがこの映画で主演を務める女優小林聡美はお気に入り。のほほんとしているが、しっかりするところはしっかりしているような感じが好き。

この映画ではのほほんとしたヘルシンキでの生活が描かれているのだが、実際にヘルシンキに行くとそののほほんさが実感できる。ヘルシンキ市街には首都なのにも関わらず人がそこまでゴミゴミしているわけでもない。

マーケットに行っても威勢の良い大きな声が聞こえるわけでもなく、強引に押し売りをしてくるわけでもない。店の人に話しかけるといつも笑顔が返ってくる。公園のベンチにはたくさんの人が座り、世間話をしているし、オープンテラスのレストランでは昼間からビールを飲む人がたくさんいる。

映画に出てきた「かもめ食堂」は、KAHVILA SUOMIという名前で実在する。インターネットで調べてみると、映画のようにおにぎりがメニューにあるわけではないが、おいしいランチをリーズナブルな価格で提供しているようだ。ちなみにこのお店のお客は、『かもめ食道』効果で半分以上が日本人であるという。一体どんな場所なのだろうか。行ってみるしかない。


ちなみに、フィンランドはムーミンの生地。市内にはムーミンショップがあるそうなので覗いてみることにしよう。













「駅起床」
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朝食
今日も駅で起床。起きると、目の前にはたくさんの人が歩いている。今日は目立たない場所で寝ていたのでじろじろ見てくる人はあまりいなかったのだが、やっぱりたまにいるのだ。節約のため駅で寝ているとはいえ、旅先の人から冷たい目線で見られるのは心苦しいところである。だが、もう長い間宿無し生活をしているので、その冷たい目線にも少しずつ慣れてきた。

起きたところですぐに寝袋とシートをしまい、昨日スーパーで買ったバナナとリンゴ、オレンジジュース、そして昨日の残りであるハムを食べた。

荷物を駅のロッカーに預ける。料金は24時間3ユーロ(約390円)。ユーロ圏では妥当な値段だろう。












「屋内市場:オールドマーケットへ」
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オールド・マーケット

今日まず向かったのは、オールドマーケット。このオールドマーケットはなんと1889年にオープンしたというとても歴史のあるマーケット。中央駅から歩いて10分ほどで到着した。

市場は2つの階に分かれており、1階部分が肉や魚、パンなどの食品が売られ、2階部分には衣料品が売られていた。パンやで形がおもしろくて安いパンを見つけたので購入。具にはポテトが入っているだけ。味がほとんどない炭水化物の塊だった。正直自分の口には合わない。

屋内市場の前は広場になっていて、そこにはストロベリーやブルーベリー、ラズベリーなど、たくさんのベリーが並んでいる。フィンランドの特産品なのだろうか。豆粒程度の赤い果物があったので、1ユーロ(約130円)分だけ購入してみた。食べてみるととっても酸っぱい!健康に良さそうである。

「マーケット広場へ」
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ヘルシンキにはもう一つ港の近くに市場がある。マーケット広場だ。この場所は映画『かもめ食堂』で主人公サチエ(小林聡美)が食材を購入していたところ。港が目の前にあって、涼しい風が流れ、とってものどかだ。海が近いので、かもめがたくさんいる。そのかもめや鳩が、市場で売られるベリーがこぼれた瞬間、それを食べる。だからここのかもめは太っているものが多いのがおもしろい。

市場には先ほどの市場と同じように、たくさんのベリー類が並んでいる。食べてみたいところだが、さっきも食べたのでここは押さえておいた。ベリーのほかにも、きのこや野菜、そしてお土産やファーストフードのお店もあった。さっきより観光客向けの店が多い。ジュージュー焼かれるソーセージがとってもおいしそうだ。

「世界遺産 スオメンリンナ要塞」
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要塞の大砲
ヘルシンキの郊外には、フェリーで15分くらい行ったところにスオメンリンナ要塞という世界遺産がある。この場所は要塞として、かつてフィンランドがスウェーデン王国の一部だった時、ロシア帝国からの攻撃を防ぐために建設された。海防要塞としては世界最大級であったようだ。

フェリーはマーケット市場から出ている。料金は往復3.8ユーロ(約500円)。フェリーの上に上がって海を見ながらスオメンリンナへ向かう。途中にたくさんの島があり、島に一軒だけ家が建っているような島もある。まるで実写版ドラゴンボールのカメハウス。あんな場所に住んでみるのも楽しそうだ。

到着し、港を出ると辺りは森に囲まれている。要塞というので、何もないような場所だと思っていたが、自然がとても豊かだ。

看板に書かれた地図にはお勧めルートが紹介されており、それに沿ってルートを進む。

中に入ると、自然がたくさん残こる静かな街だが、やはり要塞都市、海岸にたくさんの大砲がのこる。大砲などの兵器を見ていつも思うのが、この兵器で一体何人の人がしんだのだろうかということ。今は使われていないとはいえ、兵器は兵器。人を殺すための道具。きっとたくさんの人をこの世から消したのだろう。そう思う度に、私はいつも悲しい気持ちになる。

「かもめ食堂へ」
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かもめ食堂のロケ地「KAHVILA SUOMI」

要塞からフェリーでヘルシンキ本土に戻り、市街から少し離れた場所にあるかもめ食堂のロケ地、「KAHVILA SUOMI」に行った。店の周りは人通りが少ないのだが、店の中はたくさんの人で賑わっている。驚くべきことに、その客のほとんどが日本人だ。みんなかもめ食堂を見てやってきたようだ。

店内は映画と違い、毛皮や日本人が書いたと思われる書道など、たくさんのものが飾られている。料金は先払い制。カウンターで先にメニューを選び、料金を支払う。

自分が頼んだのは9ユーロ(約1170円)の魚の日替わりランチ。やっぱり海の街だから魚を食べなくては。ランチには、コーヒーや紅茶、自家製のノンアルコールビール、そしてサラダとパンがセルフサービスで付いてくる。食べ放題なので、たくさんサラダを盛った。

どこのテーブルも埋まっていたので、日本人家族の席にお邪魔することに。夫婦と大学一年生の娘の3人家族だった。その家族は父親の仕事でヘルシンキに来ていて、今日で1週間が経ったのだとか。もうヘルシンキは一通り見て回ったようで、色々情報を教えてもらった。やっぱり映画を見てこの店に来たようで、すでに回った映画『かもめ食堂』のロケ地を教えてもらった。

出てきた料理は白身の魚フライとご飯、そして赤色に漬けられたカブのつけ合わせ。ボリューム満点でとってもおいしい。地元の人も結構店にいるところを見ると、映画の話題性があって人が集まるだけではないようだった。

自家製のノンアルコールビールは甘い。甘いビールは初めてだ。自分はやっぱりアルコールの入ったビールの方が好きである。

「再びマーケット広場へ」
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かもめ食堂で会った家族が、マーケット広場のトナカイの肉はおいしく、ベリーは今が旬だというので、早速食べに行くことに。

トナカイの英語が分からず、地図に載っているトナカイのイラストを店の人に見せて単語を教えてもらった。トナカイのソーセージを6ユーロ(約780円)で売る場所があったが、他の店でセットに含まれるソーセージを単品で売ってくれと頼むと、1ユーロ(約130円)で売ってくれた。トナカイの肉は言われた通り、ジューシーでおいしい。豚のソーセージより脂っこくないので自分は好きだ。

ブルーベリーは1ℓ4~5ユーロで測り売りで売られている。ミニマム500mlの場所が多かったが、1ユーロ(約130円)分だけ売ってくれと頼んで売ってもらった。甘酸っぱくてとてもおいしい。ブルーベリーは健康にもいいというので、最近偏食気味の自分にはもってこいである。

「ムーミンショップへ」
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ムーミンショップ

大きなショッピングセンターの中の一角にムーミンショップがある。この場所もさっきの家族に教えてもらった。

とても小さな店だったが、ムーミンのコミックやムーミングッズであふれかえっていた。やっぱりここにも日本人の旅行者が数名。日本人にムーミンは大人気である。

自分はムーミンの絵葉書を1.2ユーロ(約160円)で購入。最近各地の絵葉書を買うというのがマイブームである。なぜ絵葉書かというと、安いし現地のオリジナル性が高いからだ。

「ヘルシンキ最大の本屋アカデミアへ」
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ヘルシンキ最大の本屋。映画『かもめ食堂』ではここでガッチャマンの歌を歌った。

ヘルシンキ最大の本屋アカデミア。なぜここに来たかというと、並んでいる本を見て現地の関心期事などを知りたかったこともあるが、この本屋の2階にあるカフェが映画『かもめ食堂』のロケ地に使われたからである。

映画ではサチエとミドリがガッチャマンの歌を歌った。カフェの名前は「Cafe Aalto」である。

本に囲まれた中でお茶を飲むのはとても心地が良さそう。カフェはレトロな雰囲気でおしゃれ。雑誌か何かの取材なのか、カメラで写真を撮られながらインタビューを受ける女性の姿があった。

コーヒーを飲みたかったところだが、ここは見るだけに留めておいた。

「高い手数料」
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時刻は午後5時。駅に戻って、予定していたエストニアの首都タリンへ向かうフェリー乗り場に向かう。

タリンに行くフェリーはたくさんあるのだが、Interrail Global Passで半額のサービスが受けられるTallink Siljaのフェリーで行くことに。インフォメーションで調べたところ、12ユーロ(約1600円)程でいけるという。高速船は1時間半で着くがこっちは3時間半かかる。だが、この会社のフェリーの方が安い。

Tallink Silijaのフェリー乗り場は遠い。中央駅で預けておいた荷物を持って、30分程歩いてフェリー乗り場へ向かった。

乗り場の受付でチケットを購入しようとする。だが受付の人は、
「20ユーロいただきます。」
と言うのだ。なんと、この受付でチケットを購入するだけで8ユーロ(約1100円)も手数料がかかるというのだ。この料金だったら高速船に乗った方が安く済む。だが、ここまで来たのだからと思い、チケットを購入。それにしても、手数料で料金を取りすぎである。

「エストニアへ」
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所要時間は3時間半、午後6時半に出航し、午後10時頃到着予定。船内は大きく、新しくて居心地は良いのだが、高い手数料を取られたので当然だろうという思いが離れない。

フェリーには大抵シャワーが付いており、野宿生活を続ける自分にとって無料でシャワーが浴びられるのはとても有難いのだが、このフェリーではその無料で浴びられるシャワーがない。地下にサウナがあり、そこで浴びてくれとのこと。だが、料金は8ユーロ(約1100円)もする。何もかもお金のかかるこのフェリー。このフェリー会社Tallink Siljaにはあまり良い気分になれなかった。

「エストニア首都タリンに到着」
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船は午後10時頃タリンに到着した。出口にはパスポートコントロールがあったが、今はこのエストニアも2004年にEUへ加盟しているので今は使われていないようだ。

フェリーでシャワーを浴びるつもりがシャワーを浴びられなかったこともあるのだが、もう1週間以上も野宿生活を続けているので今日は野宿をやめて宿に泊まることにした。幸い、エストニアの宿の北欧と違って安く、10ユーロ(約1300円)程度で泊まることができる。

インターネットサイトHostel World.comを使って、世界遺産に指定されている旧市街のど真ん中に10ユーロの安宿を見つけ、そこに泊まることに。

早速シャワーを浴び、宿にあるキッチンを使って、昨日買ったチーズポタージュの素を利用してチーズリゾットを作った。おいしかったが、やっぱり加工食品を使うとそれなりの味がする。ごはんをたくさん鍋で炊いたので、お腹は一杯。

ご飯を食べたあと、久し振りのベットでぐっすりと寝た。

タケノコ

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