9月7日 フランス(1)パリ:「パリ!パリ!パリ!」



ついにやってきた!パリだ!パリだ!パリだ!

パリに行くのをとっても楽しみにしていた。

パリと言えば、ルーブル美術館、オルセー美術館、エッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ヴェルサイユ宮殿、凱旋門…挙げれば切りがないほどたくさんの観光名所が連なる街。どれから行こうか迷ってしまうほどだ。

ちなみに自分の第二外国語はフランス語。一応4級まで持っている。だが、一番使わねばならぬ時にほとんど覚えていない。フランス語のテキスト一冊持ってこれば良かったと少し後悔した。

3年生の「フランス語会話」の授業で、フランスに旅行へ行ったという設定で日記を書くレポートがあった。そして指定された旅程にはパリが含まれている。自分は結構頑張って書いて、まさか近い将来パリに行くとも知らずに綿密な計画を立ててレポートを書いた。そのレポートがこの場において生かすことができるとはやったかいがあった。

パリに到着したのは昨日の夜なので、今回は昨晩から日記を書くことにする。


「パリ北駅」
--------------------------------
パリに到着したのは午後9時頃。もう外は暗くなっている。いつもなら治安等を心配して夜外にはあまり出歩かないのだが、ここはパリである。特に自分が見たかったのは夜のエッフェル塔。最高にきれいなのだろう。

ロッカーに大きな荷物を預けて行こうと思ったが、ロッカーの料金は最大2日間で4ユーロ。
「5分でも4ユーロ、48時間でも4ユーロさ。」
今日の終わりも近いので、今日は荷物をロッカーに入れずエッフェル塔へ向かう。

「パリ市内の交通機関」
--------------------------------
いつもならばどんなところでも歩いていくところだが、今日はもうすでに暗いので電車で向かうことにした。パリの地下にはたくさんの種類の電車が走っているのだが、その電車すべて共通の切符が1.6ユーロ(約200円)で売られている。この共通券を使えば基本的にパリ市内ならばどこにだって行けるのだ。

券売機で切符を買おうとしたのだが、やり方が良く分からない。そこで通りすがりの人に切符の買い方を聞くと、
「その共通券じゃエッフェル塔にいけないよ。」
と言って別のチケットを指さしてくる。そのチケットは1.6ユーロの数倍の値段だ。このチケットは絶対に違う。いくらパリでもこんなに値段が高いわけがない。そう思い、
「ありがとう。」
と言ってその場を後にした。あとで自分でもう一度やってみたところ1.6ユーロの共通券が買え、エッフェル塔の駅まで行くことができた。

いくらパリ市民でも全員がすべて知っているとは限らないし、ただしいことを教えてくるとは限らない。異国の地に一人で立った時、最後は自分自身を信じるのみである。

「夜のエッフェル塔」
--------------------------------

駅から出て10分くらい歩くと、見たことのある形をした高く光る大きな建物が現れた。エッフェル塔だ。

東京タワーとまた違う美しい形をしたこのエッフェル塔。東京タワーの場合は塔の真下にエレベーターがあり、フードコートなどが入った建物があるのだが、エッフェル塔にはそのような建物はない。塔の上に上がるには、塔の足の部分から斜めに上がっていくエレベーターに乗るか、階段を上るかどちらかである。余分な建物がなく、塔のみ立ちそびえる姿は本当に美しい。エッフェル塔を見に来て本当に良かった。

エッフェル塔のまわりにはたくさんの観光客があつまっている。エッフェル塔のその美しい姿を写すため、一眼レフカメラと三脚を持った旅行者も数多くいた。日本人の姿も多くいる。やっぱり西欧に来ると日本人の数が増えてくる。東欧であれだけ見かけなかった日本人が、西欧に来ただけで一気に数が増えた。特に見どころ満載のパリとなれば当然のことかもしれない。

さて、そろそろお腹がすいてきたところである。エッフェル塔の前には大きな公園が広がっていたので、そこで自炊することにした。今回はスーパーで特に買い込んでいるわけではなかったので、麺に塩とこしょうをかけ、つかいかけのタイカレーペーストであえただけ。だが、お腹が空いていた自分にとっては、それだけで十分だった。

「芝生の悲劇」
--------------------------------
今夜も野宿。今日はアンヴァリッドと呼ばれるところの前の広く広がる芝生で寝ていた。

何を見ていたのかは忘れたが夢を見ていた。突然、洪水に見舞われるシーンに入る。そして目を覚ますと、ものすごい勢いの雨が降り、自分の顔面めがけて降ってきたのだ。だが、よくみるとそれは雨ではない。芝生を養成するための噴水である…噴水の勢いはすさまじく、容赦なく自分に襲いかかってくる。もう鞄も寝袋もびしょ濡れだ。

芝生で夜を過ごそうとしたのはこれが初めて。まさかこんな事態になるとはおもわなかった。芝生はふかふかしていて気持ちが良かったのだが、睡眠には適していなかたった。

「フランスの朝」
--------------------------------

朝起きた時ちょうど日が昇った頃。まだ6時頃だろうと思っていたが、時刻はすでに8時である。フランスはイギリスの真南にあるのにも関わらず1時間早い。そのため、朝は7時半ごろまで暗く、夜は長いのである。そちらの方が明るい時間を長く楽しめて時間を有効活用できそうだ。

「市内観光」
--------------------------------

朝。8時頃でもこんな空。

パリ北駅にあるシャワーを7ユーロ(約930円)で浴び、荷物をロッカーに預けてパリ市内へ出発した。

まずは街を歩く。北駅からセーヌ川まで歩いて美術館や大聖堂を回ろうと考えた。

パリの街は他の西欧と比べて大きい。都市によっては、歩いて大抵の場所にたどりつくことができるのだが、このパリに限ってはそれは難しく、地下鉄等を利用した方が良い時が多い。ましてや、ルーブル美術館やオルセー美術館をじっくり見たい自分にとってみれば、今まであまり使ってこなかった地下鉄を使った方が良い時間が過ごせるというものだ。

市内には市営のレンタルバイクがあり、一日各回30分以内の移動ならば無料で使えるものがある。ここはぜひとも利用したいところだが、機械に自分のクレジットカードを入れても反応しない。諦めるしかないようである。

「ノートルダム大聖堂」
--------------------------------

ノートルダム大聖堂

パリ北駅から20分ほど歩いた後、地下鉄に乗ってシテ島へ向かった。シテ島はノートルダム大聖堂やサントシャペルなど、パリの見どころが詰まったセーヌ川に浮かぶ島。

駅を降りてまず向かったのが、ノートルダム大聖堂だ。圧倒されたのがその塔の大きさ。壁に細かい装飾が施されれる巨大な塔はとても迫力がある。

中に入ると、その天井の高さに驚かされるが、中にあるステンドグラスの数々も見ものである。

多くの観光客が大聖堂を訪れる中、教会内では司教が教えを説いていた。お祈りの時間中なんだか申し訳ない思うであるが、多くの観光客はそれにかまわず声を出して話していたのが残念である。

塔の上に上がってパリを一望することもできるが、上がるのに料金がかかってしまうのでやめた。

「ルーブル美術館へ」
--------------------------------

ルーヴル美術館

シテ島はノートルダム大聖堂をとりあえず見ただけでおいておき、次に向かったのが、パリで最も有名な建物の一つ、ルーブル美術館だ。

ルーブル美術館はセーヌ川沿いにある。セーヌ川の川岸を歩いていると、観光客向けの絵の模写やプリントされたイラストなど多くの美術関連商品が売られている。

その模写の多くはひどいものばかり。こんなに雑に書いた絵を誰が買うのかと思ってしまうばかりである。本当に売れるのだろうか。

ルーブル美術館の中庭へと繋がる道を発見し、その道を通って出た先には、あの有名なルーブル美術館のピラミッドが現れた。ついにやってきたルーブル美術館である。入口に向かい、中に入ろうとする。すると警備員が看板を指さしてこれを見ろと言ってくる。そこには日本語で、
「定休日 火曜日」
と書かれているではないか。今日は火曜日。残念ながら今日は火曜日で美術館はおやすみなのである。後日また改めて向かうしかない。

「フランス料理」
--------------------------------

斜体
前菜

パリで一度でいいからコース料理を食べてみたい。そう思っていた。ガイドブック「地球の歩き方:ヨーロッパ編を読むとランチで25ユーロのコースを提供しているところがあるという。コース料理を食べるならばランチ。ディナーは高くてさすがに無理だ。

高いお金を出すのではずしたくはない。せっかくなので地球の歩き方に紹介されているレストランに向かうことにした。

途中、ランチのコースが値引きされている店があった。値段は20ユーロ。自分が今向かっているところより断然安い。店先のテーブルにたくさんならぶオイスターも気になるところだ。そう思い、このかきが食べられる店を選んだ。

結構内装がきれいで、店員は全員ネクタイを締めている。結構いい店なのだろうか。
店員がやってきて、英語のメニューを渡してくれた。メニューを決め、店員に
「すみません。」
と何度言っても、
「少々お待ち下さい。」
と言うばかりである。確かに店にはたくさんの人がいたが、注文をするだけなのに結構待たされた。ほかのレストランでもそうだったが、フランスのレストランの定員は何をやっているのかわからないが頼んでからの動きが遅い。自分が行ったレストランがそうなだけなのかフランスのレストランが全体的にそうなのかわからないが、あまりいい気分はしない。

まず前菜としてでてきたのが、オイスターと巻貝、そして焼かれた小エビ。それと一緒に2種類のパンと2種類のソース。ソースは赤ワインと玉ねぎ(?)赤ワインが混ぜてあるようなものとマヨネーズ。

フランスの食べ方は何か特別なのかもしれないと思い、隣に座っていた中年のフランス人二人に食べ方を教えてもらった。オイスターを刳り抜くためのものと、巻貝をくりぬくための道具がどれか教えてくれ、
「あとは自分のやりたいように食べればいいさ。」
とってもラフである。フランス人と料理はとっても形式的なものだと思っていたが、意外にもそこまで堅苦しいわけではにようだ。ここが単にそういう店だからだろうか。

正直、オイスターの身がとても小さくて薄い。広島の宮島で食べたかきの方が断然おいしかった様に思う。赤ワインとビネガーのソースも試してみるが、あまりかきには合わなかった。マヨネーズソースもそうだが、ソースなのにそこまで味が濃くない。フランス料理は味が薄いというイメージがあったが、そのイメージは間違いないのだろうか。

次に出てきたのがたくさんの香辛料の香りがするレアのビーフステーキとポテト。このメインディッシュは店員の一押し。その割には、どこかのファーストフード店で食べられそうな見た目である。

確かにステーキは美味しかった。だが、それほどおいしいものでもない。フライドポテトは揚げてから少し時間が経っているのか、ふにゃふにゃになったものも混じっていた。

この店でフランス料理というものを十分に味わうことができたのだろうが、値段の割にはそこまでおいしくない。本当のフランス料理はもっと高いものなのだろうが、自分にしては大金を叩いたつもりである。おいしいのだが、そこまで特別おいしいわけではない。料理のコストパフォーマンスに不満があった。

やはりもっと高いお金を出さなければ本当においしいフランス料理を食べることはできないのだろうか。そうだとしたら残念である。

「モン・サン=ミッシェルへ」
--------------------------------

TGV。フランス高速鉄道。時速300km/h。新幹線より速い!

ルーブル、国立近代美術館と並んでパリの三大美術館とされるオルセー美術館。ゴッホやモネの作品が並んでいる。

並んで美術館に入ろうとした。だが、このオルセー美術館に行く前に今からモン・サン=ミシェルに向かったらモン・サン=ミッシェルの夕日と朝日が見れるのではないか。そんな思いが頭をよぎる。モン・サン=ミッシェルまでは高速電車TGVで2時間とバスで1時間半。今からいけばまだ間に合う。夕日に間に合わなくても朝日には間に合うだろう。

そう思い、オルセー美術館を後にしてモン・サン=ミッシェルへ向かうことにした。

「レンヌ駅で立ち往生」
--------------------------------
パリのモンタパルナス駅へ向かい、モン・サン=ミッシェル方面へ向かうTGVの切符を買う。自分の持つInterail Global Passを利用するとTGVの座席指定料金のみで列車を利用できる。ブリュッセルからパリに向かうタリスを使用した時には追加料金が20ユーロ以上かかった。今回もそれだけかかってしまうのか。
「3ユーロ(420円)です。」
窓口の人は言う。意外にもとても低下価格で乗ることができるTGVだ。鉄道料金が日本並みのこのフランスで、低価格で高速列車に乗ることができるのはありがたい。

ただ、鉄道パスの席枠があるようで、1時間半後の電車からしか座席を取ることができなかった。仕方がないのでその遅く出発する電車に乗ることに。列車の出発時刻は17時35分、到着は19時40分頃である。

TGVに乗り、遅れることなく電車はレンヌ駅に到着。時刻はまだ20時前である。ここからモン・サン=ミッシェルへの電車かバスはないかと駅員に聞くと、
「もうおわっちゃったよ。電車もバスもあるけどね。両方終わりました。」
え?まだ時刻は20時前である。あの有名な観光スポットモン・サン=ミッシェルに行くバスがもうないのだろうか。信じられなかったが事実のようだ。仕方がないのでこのレンヌで一夜を過ごし、明日モン・サン=ミッシェルへ出発するしかないようだ。

「フランスの夜」
--------------------------------
時刻は20時少し過ぎ。まだ空は明るい。朝が暗い分、夜は明るくて過ごしやすい。

街にスーパーがあるかどうか通りすがりの人に尋ねる。だが、通りすがりの人に英語で聞いても、ほとんど通じない。フランス人は日本人と似て英語が苦手だと聞いたことがあるが、この噂は間違いないようである。ようやく英語が少し話せる人を発見、聞いてみる。
「もう遅い時間だからやってないよ。そこにあるような小さな売店しかやっていないんじゃない。」
まだ時刻は20時半。欧州の他の国、ドイツなどの西欧でも、北欧でも、東欧でも、どこかスーパーは開いていた。だが、フランスのスーパーはどこも開いていない。

街のレストランを見ても、せいぜい開店時間は最長12時間まで。それ以降開いている店は一軒もない。

フランス人は昼間働いて夜はしっかりと休む人が多いようである。24時間営業しているスーパーやコンビニが大量にある日本とは大違いである。

どこか安そうな店はないかと探した。探してみると、「1.80ユーロ(約250円)でオリーブオイルをあえただけのパスタが食べられる店があったので入ることに。お腹が空いていたので、お腹にたまるものであれば何でも良かった。パルメゾンチーズとゴマスティック2本サービスとして付いてきたのが嬉しい。

「駅前レストランの店員」
--------------------------------
夜24時頃までレンヌ駅の中にある待合室で日記を書いていたところ、トイレに行きたくなった。駅のトイレはもう夜遅いので閉まっている。これはやばい。駅前にあったレストランにはまだ幸運にも光がともっていた。

もう閉店したレストランの店員にトイレを貸してくれとお願いし、レストランのトイレを貸してもらった。

そしてトイレから出てきたところで、
「出身はどこだね?」
「日本です。」
そこからレストランの店員のおじさんとお互い片言英語ながら会話が弾んだ。
「ビールのまないか。おごってやるよ。」
2,3回断って遠慮したが、あまりにもビールを勧めてくるのでいただくことに。ハイネケンのビールを一杯いただいた。
「乾杯!」
そしてもう少しおじさんと話した後、お別れを言ってレストランを後にした。おじさんはとても陽気で、
「ぜひまたきなよ。」
と言ってくれた。

他の人からも聞いたことだが、フランス人、特に田舎の方の人はとても陽気で優しい人が多い。英語は話せないが、それをノリでカバーするフランス人。とても良い国柄である。

レストランを後にし、今日は駅の外で寝た。

タケノコ

0 件のコメント:

コメントを投稿

Instagram