10月24日「出発準備編:心と体の準備」


「心の準備」
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 この新聞記事を読んだのは○日前。当初イランも今回の旅程に入っていたので、全身の毛が逆立つように感じた。

 「テロは米英の関与があったとされ、イスラム過激派は『米英に対して報復を行う』と声明を出した。」

 これでイラン旅行は計画倒れとなる。アメリカの同盟国人である日本人も狙われる可能性が高い。


 中東ではこんなことが日常茶飯事に起きているのか。正直に言うと、出発が近づくにつれて不安になっていた。

 「今この齢で大きなリスクを背負ってんなところにいく必要はあるのか。」
自分に何度も何度も問いかけた。

 だけどいつも答えは同じなんだ。

 中東という日本や欧州の文化とかけ離れた異質の世界、そして今世界で最も注目されている地域を見ずして一体どこへいこうか。

 それに、大学生であるこの「今」が一番時間を自由にできるし、して良いと思った。

 沢木耕太郎が書いた『旅ノート』によると、旅には「適齢期」があるという。同感だ。
 年老いて世界へ旅立つのも良いかもしれないが、この齢世界へ旅立った経験を社会人になって活かして行きたい。それに、年老いて固定観念ばかり頭の中に詰まった後世界に行くより、頭が柔らかい今行った方が頭のスポンジの吸収力も強いだろうから。
 

 でも「危険」なのは事実。最初は、
「人生いつか終わるんだから。長いか短いか。違いはそれだけ。」
 なんて考えて済ませていた。だけど色々な人が自分に、
「気をつけてね。」
 と声を掛けてくれる度に、自分の「命」って考えてる程軽くはないことに気がついた。こんなにたくさんの人に支えられて生きている。これって当たり前みたいで実は当たり前じゃない。自分は、世界の中じゃ結構恵まれている方なんだ。
 こんな環境を無駄にしちゃぁ罰が当たっちゃう。だから気をつけなきゃな。

 自分を支えてくれた皆様、こんな自分ですみません。でも、ありがとう。


「体の準備」
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 今回の旅は、出発前からヨーロッパとは全く違うことを実感させられた。

 まずは査証(ビザ)。中東・南アジアにおける多くの国では査証が必要だ。その査証を受け取るために東京にあるたくさんの大使館に電話を掛け、日本で事前に取るべきか、海外にいても取れるのか調べた。国によっては国境や空港で取れるところもあるからだ。
 
 エジプトやヨルダンなどは国境で取れるみたいだが、シリアやインドは事前に申請しておかなければいけないとのこと。インドは在外大使館でも取れるとのことなので、シリアの査証のみ日本で取ることにした。

 シリアの大使館は六本木・東京ミッドタウン近くにある住宅街の中にある。外見はどうみても普通の一軒家。「シリア・イスラム共和国大使館」の看板がなければここが公的な重要施設だなんて全く気付かないだろう。
 開館日は月・水・金で、ビザの申し込みはその午前中のみ。一日逃したらまた2日待たなければならない。自分は時間に遅れそうだったので必死に走って査証の申し込みに向かった。
 査証は月曜日に申し込み、水曜日に出来上がった。

 ヨーロッパでは場所によってはパスポートを見せなくても国境を通過できるところが多かった。それに比べると査証を取るのは大変だけど、こうやって手間暇かかった方が国を跨いで旅をしているという実感が湧く。

 ヨーロッパは旅の序章。これから本当の旅が始まるんだ。


 次に違うことは自分とはあまりなじみのないイスラム教。前の旅でも、トルコにはイスラム教徒が多かったが、自分の出会った多くの人々はイスラム教に対して厳格ではなかった。1日に5回聖地メッカに向けてお祈りする人もまばらだった。
 でもこれから向かう国々の中にはそういったイスラム教の習慣を厳格に行うところがある。「郷に入ったら郷に従え」と言う。知らないで済まされない事態が起こる可能性も否定できないので、イスラム教について勉強して行くことにした。



 こうして「心と体の準備」を進めるうちに、いつの間にか出発前日となった。ついに明日出発だ。

タケノコ

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