12月2日 オマーン(2) 首都マスカット:「スルタンの巨大モスク」


ルタン・カブース・グラン・モスク

「アラビア諸国の指導者」
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オマーンのスルタン(王)の写真。街の至る所にある。

スルタンとはイスラム教国の王。イスラム教教祖ムハンマドの子孫であり、天皇のように象徴的な存在ではなく、政治の実権を握る。

自分が旅したイスラム教国は今日に至るまで絶対王政や世襲による大統領交代などが慣例化している国が多かった。エジプト、ヨルダン、シリア、UAE、オマーンがそうだ。このような国では街のいたるところに実権を握る指導者の写真が飾られている。店の中には必ずあるし、ホテルや一般家庭、時にはバスの中に張られていることだってあるのだ。なぜイスラム諸国はこのような体制の維持が可能なのだろうか。新らしいイスラム国に訪れる度に考えてしまう。

「巨大モスク」
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今回訪れたのはオマーンのスルタンが作った、「スルタン・カブース・グラン・モスク」。なんと完成させるのに5年の月日を費やしたのだという。一昔前ならば一国の指導者が権力誇示などのために巨大な建築物を作ることは当たり前だったように思うけれども、この現代社会でもそのようなことができる国があるみたいだ。

異教徒に解放されるのは朝の8時から11時までの3時間だけ。イスラム教は厳格で、あまり異教徒をモスクに入れさせてくれない。

5年の月日を費やしただけに、その
巨大さ、美しさは伊達じゃない。金色に塗られたドーム、モスクを囲む大きな柱、ピカピカに磨かれた床と壁面の細かなモザイク。すごいの一言である

「チュニジア人宅に一泊」
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今日中にドバイへ出発しようと考えていたが、トラブルがありバスを逃してしまった。

「バスは明日の朝までないよ。」
乗り合いタクシーでもドバイに行けるのだが、人数が集まらないので一人で4人分の料金を支払わなければ出してくれない。その金額、60ディナール(約10800円)。この地域で陸地移動にこんな値段を支払いたくはない。
「ちょっと待ってみな。もしかしたら誰かくるかもしれない。」
乗り合いタクシーのおっちゃんは言う。その言葉に従って、近くのカフェでお茶をしながら待つことにした。

カフェでお茶をしていると、近くの親父3人が
「こっちに座れよ!」
と言って誘ってきた。しばらく話して親密になり、自分の状況を話すと、
「近くに家があるから、俺の家に泊りなよ。」
と言ってくれた。最初は警戒したが、3人ともチュニジア人で、同じアラビア語圏であるここオマーンで学校の先生をしているそうだ。とても優しい人達だった。

「この辺りにお酒が飲める場所があるか。」
という話題を振ると、泊めてくれる人が酒屋へ連れてってやるというのでついていった。イスラム教ではお酒が禁止されているのだが、この親父はイスラム教徒なのにも関わらず時々言っている様だ。

酒場の入口にはセキュリティーがいて、警備がしっかりしていた。中に入ると、座席とテーブル、そしてステージがあり、そのステージの上ではプロっぽい歌手が歌い、踊り子が踊っている。実は昨日の夜も、誕生日だったので久しぶりに酒が飲みたいとホテルのレセプションに聞いたところ、連れて行かれたのも同じような場所。ここオマーンには普通の飲み屋はないのだろうか。

ビールは1本2ディナール(約180円)。この国の物価にしては高い方だが、別にそこまで高いわけではない。自分達はビールを一人3本位飲んだ。

泊めてくれる上、なんとビール少しと行き帰りのタクシー代をおごってくれた。今日初めて会った自分にここまで優しくしてくれるとは。旅をしていると嫌な人に会うことも多いが、それと同じ、いや、それ以上に世界には本当に良い人がいるものだ。

タケノコ

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