11月1日 エジプト(8) ルクソール:「王家の谷」

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昨日までダウンしていたけど今日は快調。持ち合わせのパブロンと24時間の内4分の3以上寝たのが功を成した。

油断は禁物というところだが、この街ルクソールのハイライトである王家の谷まで、市街から距離があるとのこと。だが、ここでタクシーを使いたくはない。ホテルに聞くと、レンタル自転車が1日10ポンド(約150円)で乗れるということなので自転車で頑張ることに。ダウンから回復したばかりだが多分なんとかなるだろう。

数々の王が永眠する王家の谷。ここへ、へいざ出発!


「カルナック神殿」
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カルナック神殿

自転車を借りて宿を出発。この宿の従業員は皆陽気。
「日本人の女はいいね。みんなかわいいよ。」
…陽気というかスケベである。イスラム教徒は女性に対してオープンではないし、ましてや異教徒と関係を持つのは絶対に禁止されていたような気がしたが、ここエジプトではそこまで厳しいものではないようだ。

これまで一緒だった日本人のヒロさんと韓国人のチンさんはこれからカイロに向かうとのこと。色々な話を聞けて楽しかった。自分が言うのも難だが、出会いと別れの繰り返しというのが旅というものだろう。

カルナック神殿はエジプト最大の神殿として知られる。市街から自転車で15分程北に行ったところにあった。

まず入った駐車場には観光バスがずらり。まるで中古車販売センターのような勢いである。当然のように中には観光客だらけ。昨日行ったアブシンベル神殿以上の観光客である。

国際学生証(とはいっても自分はコピーしかもっていなかったが)が使え、入場料30ポンド(約450円)を支払って中へ。

中に入ると、天に高くそびえるオベリスクや、何百本も連なる柱が建つ部屋があり驚かされた。これらができたのは、今から何千年以上も前にこんな大きな神殿が作られたのだと思うと驚かずにはいられなかった。

「ナイル川のボート」
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次に向かったのが王家の谷。王家の谷は市街のある場所からナイル川対岸にあるので、川を渡らなければならない。橋があるのは街から離れた場所なので、船を使って対岸に行くことにした。

川沿いを自転車で走っていると、エジプトの他地域と同じように
「ボートに乗らないか。」
としつこく勧誘してくる。そこで安くしてくれるボート漕ぎを適当に見つけて乗船。料金は15ポンド(約225円)で収まった。自分一人のためにおおきなボートを出してくれるとはなんだか心地が良い。

船を降り、すぐに15ポンド(約225円)を差し出して支払いを済ませる。すぐに出さないと、バクシーシ(裕福な人が貧しい人へお金を差し出すというイスラム教の教え(だったと思う))を請求される可能性があるのだ。旅中で会った人はこのバクシーシを何度も支払って困っている人を見かけた。

「王家の谷へ」
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借りた自転車

対岸に降りると、タクシーの運転手が嫌という程声をかけてくる。
「王家の谷までは遠いよ。自転車じゃ絶対じゃ無理だ。なにせこの暑さじゃないか。」
こういった話は大抵盛られている。昨日まで一緒にいた日本人のヒロさんが「そんなに遠くないよ。」
と言っていたので構わず自転車で走っていた。

暑かったのでマンゴーのアイスキャンディーを1ポンド(約15円)で買って食べてエネルギーを回復させる。そしてまたしばらく走ると肌色の岩山ばかりの景色になった。

 走っていると肌が黒く顔にニキビのたくさんある一人の少年がストップをかけ、自分に話しかけてきた。
「この道路を走っていくと遠回りで王家の谷までものすごい時間がかかるよ。俺はこの辺りの土地を全て知っている。近道を教えてやるよ。」
いきなり強引に自分の自転車を止めて見も知らぬ人に近道を教えるというのはなんともうさんくさい。人の姿が少ないところへ連れて行き、脅してお金を取るつもりだろう。よくあるパターンだ。しつこい少年だったが無視して自転車で走って行った。

いよいよ人影もなくなり、周りは肌色の岩肌だけとなった。あと少しだろうと思いながら自転車をこいでいると、だんだん自転車が重くなて行くのがわかった。何かおかしいと後ろを見ていると、タイヤがパンクしているのだ。運が悪い。暑い中、人影のない荒れた土地を自転車を引きずりながら一人で歩くのは結構つらい。それに今日風邪から回復したばかりである。

風邪が再発しなければ良いが…

「王家の谷到着」
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歩いて20分程経った場所に王家の谷はあった。朝行ったカルナック神殿より観光客の数は少ない。今はお昼時。皆お昼御飯を食べているのだろう。

王家の谷は学生証が使え、1枚30ポンド(約450円)で20数個ある墓のうち、3つの墓を見ることができる。世紀の大発見となったツタンカーメンの墓、そしてラムセス2世の墓は追加料金が必要。学生料金で45ポンド(約675円)、大人はその倍だ。

自分はラムセス2世、ラムセス9世、アメンメセスの墓へ。部屋の中は壁画で一杯。奥は深い。こんなところで永眠できるファラオはさぞ幸せだっただろう。ただ、それは過去の話である。

「ナイル川の子供」
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ナイル川のボート渡し商売をする少年

王家の谷からはさすがにタクシーで街へ向かった。次の目的地ダハブへ向かうバスの出発時間も迫ってきたからだ。

タクシーは自転車も含めて30ポンド(約450円)。タクシーはどこか連れていかれたらどうしようかと心配だったが、問題なく自分を届けてくれた。

パンクをした自転車を見て、街中の人々が自分に、
「修理屋はあそこだよ。」
「俺が直してやるよ。」
と話しかけてくる。ここまで言われると嫌気が差してくる程だ。

ボート乗り場近くに行くと、小学生くらいの小さな子どもが自分にボートを勧誘してくる。ボートを乗って対岸のルクソール市街に行かなければならなかったのでちょうど良かった。
「5ポンドでいいよ。」
行きに支払った値段の3分の1である。どこのボート乗りよりも安い破格の値段だ。小さな子供が一生懸命勧誘してくる姿もまた見逃せなかったので、自分はその子のボートに乗ることにした。
「ちょっとまってて。兄ちゃんがボート持ってくるから。」
するとその子より少しだけ背の高そうな子供がボートを運転してボート乗り場にやってくる。
「さぁどうぞ。」
こんな小さな子供が大人と変わらない商売をやっていることに自分は驚きを隠せなかった。

ボートは普通のボートと変わらない。自転車を降ろす手伝いまでしようとしてくれるのだ。自分は思わず5ポンドといわれていたろころ10ポンド手渡しさ。子供は嬉しそうに受け取って行った。こんなに気持ちの良い商売を受けたのはエジプト初、いや、この旅始まって以来の出来事である。

「ダハブへ」
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ルクソールに着いた後、昼食を取って自転車を返し、荷物をホテルから受け取って次の目的地ダハブへと向かうバスに乗った。

バスは12時間かかるという。エジプト人は適当なところがあるのでもう少し長くなることだろう。長旅なのは確か。読みかけの村上春樹の『アフター・ダーク』を読みながらバスの旅を楽しむことにしした。

ダハブは紅海沿岸のリゾート都市。紅海は世界有数のダイバースポットである。明日が楽しみだ。

タケノコ

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