11月22日 シリア(3) 首都ダマスカス:「最古の都市」



今回旅したのはシリアの首都ダマスカス。ダマスカスは旧約聖書にも登場する最古の都市のひとつであり、世界遺産にも登録されている。

街の中には旧市街があり、大きなスークが立ち並ぶ。衣類や日用品、雑貨、玩具にいたるまで様々なものが売られ、昼間は地元の人々でとても賑わっていた。旧市街周辺の雰囲気は、まさにアラブの一都市だ。

旧市街の中には長い歴史を持ち、内装・外装ともに美しいモスク「ウマイヤド・モスク」がある。元はキリスト教の教会で、洗礼者ヨハネの首が収められている神殿があるのだとか。

シリアの物価はとても安いと聞いていたが、街を歩く限りそこまで物価が安いと感じることはなかった。ここ数年で物価が上昇したようだ。『地球の歩き方:ヨルダン・シリア・レバノン編』の07-08年版と10-11年版を比べると宿の値段が倍近く違うのだ。物価安を期待していたのに少し残念である。

「これからの旅程」
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朝8時頃起床。朝食に近くのパン屋でピザパン、チーズパン(各50ポンド:約100円)を食べた。シリアのパンはなかなかおいしい。

さて、この後レバノンに行くのだが、その後どの国に行くのかまだ頭の中で確定していなかった。レバノンに渡り、ドバイ、オマーン、インド、ネパールコースが自分の中で最有力。だが、このダマスカスからイランの首都テヘランまで電車が出ている。駅に行って調べてみると週に1便しかなく、それも明日の朝出発するのだという。

イスラム大国イランには以前から興味があった。陸路ならば約8000円程で行けるというので是非行ってみたいのだが、イランに行くにはビザが必要である。イランビザを取得するためには日本大使館にレター(紹介状)をもらい、イラン大使館に提出して審査をまたなければならない。問題はどれくらいのスピードでできるかだ。

まず日本大使館に行って問い合わせてみた。
「レターは早ければ今日の午後に用意できますよ。」
だがイラン大使館は
「1週間程かかります。」
という。その間イラン大使館にパスポートを預けなければならないため、1週間もシリアに滞在しなければならなくなる。短い旅程の自分にとって、1週間は長い。

ついでにインド大使館にも聞いてみると、イランと同じく
「1週間程かかります。」
とのこと。インドには是非とも行きたいと思っていたのだが、こちらへ行くのにも同じくらい時間がかかってしまう。仕方がない。今回はインドも諦めて違う国へ行こう。そう決めた。

「ダマスカスの治安」
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ダマスカス旧市街のスークに足を運んだ。スークとは市場である。冒頭でも紹介した通り、多くの地元の人々で賑わう。観光客もちらほらいたが、そこまでいるわけではない。やはり中東は危険なイメージが強いから観光客が少ないのだろうか。

中東諸国はとにかく治安面で良いイメージがない。確かにイエメンやイラン南部、イラクのように危険な地域も存在するが、全ての国ではない。ヨルダンやシリアなどでは、むしろスリ等の軽犯罪が少ないため、西欧諸国より安全だと思われる。「中東=危険」というイメージにとらわれ、世界文明・宗教の発祥地であるこれらの地域を旅行の対象から外すのは実にもったいない。

「ウマイヤド・モスク」
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旧市街の大きなスークを抜け、現れたのが巨大なモスク。これが最古のモスクのひとつとされる「ウマイヤド・モスク」である。

入場料金は一人50ポンド(約100円)。モスクに入る女性用に体を覆うためのパーカー付き長袖ロングスカートのワンピースが用意されていた。イスラム教では、女性が公共の場で頭を出したり肌を露出するのは好ましくないとされているためである。イエメンのような厳格なイスラム教国の場合、女性が頭を出していることは裸で歩いているようなものなのだという。

さて、早速モスクに入る。モスクは土足厳禁なので靴を脱いで中へ。まず入って驚いたのが、建物の中にある中庭。これでもかというくらいに石造りでできた床がピカピカに磨かれ、モスクが床に映し出されている。ここは神聖な場所なのだ。

建物の中に入ると、多くの人々が地面に座って頭を床に付けながら深くお祈りをしている。そのお祈りをする姿勢はとても真剣。日本人が気軽に神社でお賽銭を投げてお祈りするのとはわけが違う。

生活と共に宗教が存在する世界。これが世界のスタンダードである。日本は、全くないわけではないが世界各国の中では特定の宗教に対して信仰心が強いわけではない。そんな日本に暮らしていると、このように多くの人々がイスラム教、キリスト教を強く信仰し、生活の一部としている人々をみて少し驚いてしまう。だが、これが世界のスタンダードなのだ。これらの信仰心は人々の生活の一部であり、また支えとなっていることは事実である。だが、時としてその強い信仰心が争いを生む。「宗教」とは良いものなのか。悪いものなのか。必要なのか。必要ではないのか。宗教がこの世になかったら世界はどうなるのだろうか。難しい問題である。

「昼食」
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昼食には昨日行ったレストランを再び訪れた。今日食べたのはオクラのようなものが入ったスープとライス。150ポンド(約300円)だ。久しぶりにご飯が食べたかったので注文した。だが、この辺りのライスは大抵炒められ、脂っこく塩辛い。この店のライスも例外ではなかった。スープは美味しかったが、ライスが口に合わなかった。

「これからの旅程2」
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宿にインターネット設備がないので、宿の近くにある「まっすぐな通り」に面した無線ランがあるカフェに行った。

インターネットで航空券を検索し、Jazeera航空というクウェートの格安航空会社を発見。レバノンからクウェートには108米ドル(9720円)、クウェートからドバイまで22クウェートディナール(約6600円)で行ける。これで行こう。

レバノンの首都ベイルートから飛行機でクウェートへ。そして再び飛行機でアラブ首長国連邦ドバイへ。ドバイへ滞在した後、国際バスでオマーンへ行く。その後は比較的近いアフリカにでも行こうか。

そろそろ旅を始めて1カ月が過ぎた。旅ができるのはあと1カ月。悔いのないようにたくさんの国を旅したい。

タケノコ

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