6月30日(1) 2カ国目:トルコ(1) イスタンブール「波乱の初日(2)」

ボラポラス海峡にて


「絨毯屋のマネージャー」
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そして絨毯屋のマネージャーは、案内してくれた二人に旅行会社を案内するように言った。マネージャーはついでに、自慢の絨毯を見せたいというので、私を売り場に連れて行った。

マネージャーは数枚絨毯を広げ、
「私は日本人の好みを知っている。これはどうだ?」
と言って見せてきた。そして、
「日本の家族にプレゼントとしてどうだ?」
私はそんなお金もないし、絨毯自体欲しくなかったので断った。そして私は考えた。もしかしたら、絨毯売るために私に優しくしてくれているのではないのだろうか。もしそうならば私が絨毯売るのに断われば親切ではなくなるだろうな。そう思ったが別に態度に変化はない。彼らは本当に善意なのだろうか。

「旅行会社」
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旅行会社では、カッパドキアとバムッカレへのバス、カッパドキアのガイド(カッパドキアは地下深く広いのでガイドなしでは行けないと言う)、ギリシャへの出発点マルマリスまでのバス、そして食事・宿泊全て手配してくれるという。移動距離が長いので、占めて6日間の旅で学生料金(要国際学生証)440ユーロ。旅程での追加料金は一切かからないという。高いので、宿泊施設をドーム(共同部屋)にしても良いから安くしてくれと言ったら、400ユーロになった。トルコのこれからを全く考えていなかったので決めた。

「別れ」
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私は朝から色々あったので疲れていたので、彼らに、
「もう疲れたからホテルで寝るよ。さようなら。」
まだ2時でまだまだイスタンブール案内できるいいところあるよと言ってくれたが、ちょっと一人でぶらぶらしてみたいと思ったので断った。
そしたら明日も案内できるからこの場所に11時に集合しようという話になった。私にとってはとてもありがたい話であるが、彼らも忙しいであろうと思い遠慮したが、来てくれるという。
帰る時、定期のようなものを出して改札にタッチしゲートを開け、
「さあ行きなよ。」
帰りのトラム代まで浮かしてくれた。

話していて本当に楽しいし、色々イスタンブールの事を教えてくれるので頼りになったが、なぜ彼らは本当にやさしいのだろうか。

トルコ人は露天商以外、概して優しい。バスの乗り方がわからなく困っている時にも、おばさんが丁寧に教えてくれる上、バス乗り場まで案内してバスの運転手に、トルコ語で
「××で降ろしてあげて。」
と言ってくれたり、勘違いはしていたが、朝道案内も丁寧に行ってくれて同じく電車にまで乗せてくれたり、親切だ。なんだか怪しいような気もするが、本当に善意なのかもしれない。

「イスタンブール・アジア編」
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別れたあと、私は疲れてはいたが、なんだかまだまだ行けそうな気がしたので、ホテルに戻らず再びふらふら歩きまわった。

イスタンブールはボラフォラス海峡を隔ててアジアとヨーロッパに別れている。ここ、イスタンブールがアジアとヨーロッパの分け目なのだ。

私は今ヨーロッパサイドにいるので、アジアサイドアジアサイドへも行こうと思い、フェリーに乗って対岸へ行った。フェリーも1.5TL(105円)。

フェリーは約15分。フェリーからの景色は良かった。今までいた場所を海から見る楽しみ、そしてたくさんの鳥がいるトルコの海を間近で見ることができたからだ。100円でできる小さな絶景の旅だ。

対岸のUlaştırmaに着いた。私はアジアサイドというからには、ヨーロッパサイドとは違う雰囲気があるものだと期待していた。しかし辺りを見渡すとそこまでヨーロッパサイドと変わらない。むしろこちらの方がヨーロッパという雰囲気があった。まぁこの距離なら当然ながらそこまで変わらないのだろう。

こちらのサイドの方がヨーロッパのような雰囲気があるのは、私の行ったUlaştırma周辺は高級住宅街であったからだ。そして公園も奇麗に整備され、多くの人がボラフォラス海峡に入り、水泳を楽しんでいる。たくさんのカップルがそれぞれの雰囲気を楽しんでいる。なんとも優雅な空気だ。

私はとりあえずそこに広がる芝生に寝っ転がった。ちょっと休憩だ。海の近くの芝生は、涼しい風がきてとても気持ちが良い。

10分程度寝っ転がると、私はボラフォラス海峡を架ける大きな橋「第一ボラフォラス橋」を目指した。橋は大きな船にも対応できるよう大きく建てられているので、その橋からの景色はとても良さそうだと思ったからだ。

そして橋を目指すがなかなか辿りつかない。橋の近くまで海岸沿いを歩くと、そこにトルコの海軍らしき施設があった。珍しかったので、写真を撮ると、門を警備する兵士が
「×××(トルコ語)」
と言って手をこちらに振ってくる。きっと写真を撮ってはまずいのでこっちに来なさいという意味だと解釈し、近くに行った。すると大きな銃をもる兵士が、
「写真を撮らないでください。」
と言っただけだった。内心ほっとした。もしかしてデジカメのデータ全部消されるんじゃないかと思っていたからだ。しかし、兵士は注意するだけだった。

今日はやたら銃を持った兵士と対面する日だ。

第一ボラフォラス橋
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私はボラフォラス橋まで歩き、歩いて橋を渡ろうとした。そしたら橋の手前にある小屋から今度は警官が出てきて、
「ここの橋を歩いて渡るな。バスを使え。」
と言ってきた。非常に残念だが、歩いて橋を渡ることはできない。

まただ。今日は妙に警官や兵士に注意される日だ。運が悪いのか。仕方がないのでバスを使って渡ることにした。

バスからの景色はとてもきれいだった。高いところに作られているので、今まで以上にイスタンブールを全体的に見ることができ、とても有意義だった。

再びカフェ「Beltur」
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バスを使い、ヨーロッパ側の海岸に辿り着いた。そしてちょっと休憩をしようと考え、今日の朝言ったカフェ「Beltur」へ行った。店がとても安いし、ちょうど良いイスとテーブルがあったからだ。

カフェに行くと、朝にいた店員がまだいて、私のことを覚えていてくれた。
「また来てくれたんだね。ありがとう。」
私はこのカフェを気に入り、チャイを2杯(0.5TL×2=70円)頼んだ。

高い授業料
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カフェからホテルに向かう時、コンチネンタルホテルの前で一人のトルコ人に話しかけられた。
「こんにちは」
私は聞こえないふりをしたが、2,3回日本語で声をかけてくるので答えた。
「私は友人が日本にいて、トヨタ・カローラで働いているんだよ。」
「私はトルコのもう少し南に住んでいるトルコ人です。ZARAで働いています。」
ZARAと言えば渋谷にもできたアパレルのお店。トルコにもあるようだ。
「もしよかったらバーで一緒に飲みませんか?」
彼は誘ってきた。私は、
「お金がないので。」
と断った。しかし、
「大丈夫。ちょっと飲むだけ。奢ってあげるよ。」

そうした会話をしていると、彼の叔父さんがホテルから出てきた。もともと彼と叔父さん二人で飲もうとしていたようだ。そして彼が私のことを紹介すると、なんだか二人で話が拗れたようでちょっとした口げんかになり、叔父さんは再びホテルに戻って行った。

トルコ人の優しさに触れていた私は、彼と一緒に行くことを決めてしまたここでしっかりと断っていればよかった。これが道を誤る始まりである。

彼は私を薄暗い店に連れていった。
中には2,3人の客がいる。まだ午後7時で明るかったので客が少ないのだろうか。

私と彼はオレンジジュースを頼み、一緒に話していた。すると、いきなり女二人が現れ、私達の隣に座ってきたのだ。なんだかキャバクラのようではないか。すると店員は、
「彼女への一杯はいかがですか?」
と言ってくる。私は支払は彼なので、彼の顔を見て頷き、
「じゃあ」
と言って、彼女にビールを頼んだ。なんだか怪しくなってきたので、彼が会計を見せてもらうと、そこには510LT(=35700円)と書かれていた。まだオレンジジュース一杯しか飲んでいない。

そして、急に彼は支払うことができないと言う。この店ではクレジットカードが使えないからだ。彼はそこまで現金を持ち合わせていなかった。

最悪である。私は
「今お金持っていないから無理だ。」
と言い張ったが、店員が財布見せろと迫ってきたので財布を見せるとお金を持っていることがばれてしまった。
結局私も払うことになってしまった。彼は持ち合わせの現金310TL(21700円)を支払い、私は200TL(14000円)支払わなければならないことになった。もう頭の中は不安と怒りで一杯だった。
店を出て、トルコ人の彼に、
「あなたが全て支払うと言ったじゃないか。」
と言ったら、彼は
「私はあなたが女に出した分まで支払うとは言っていない。それに私自身も現金全部なくなったんだよ。」
といって空っぽになった財布を私に見せてきた。私が不機嫌そうにしていると、
「俺も知らなかったんだ。あんなところだってさ。俺はもう二度とあの店いかないよ。わかってくれ。」
「俺はあのコンチネンタルホテルに泊っている。よかったらまた飲もう。」
もう二度といくものか。私は彼を後にした。

今日が旅の初日である。こんなことは二度とあってはならない。正直私が人の言葉を信じてしまったこと、そして店に入った時点で怪しそうな店はすぐにやめること、そして値段を常に確かめること。これらを怠ったことに原因がある。これからは気をつけなければならない。高い授業料を払わされた。最悪の初日である。

タケノコ

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