7月4日 トルコ(5):カッパドキア 「別の顔」

「ノーマッドホテル到着」

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イスタンブールからカッパドキア近くにある町ギョレメに約12時間バスの乗った。トルコの道はあまりうまく舗装されていないところが多いのか、バスは尽く揺れた。

一度バスを乗り換えた後、午前9時頃カッパドキア近くのギョレメに着いた。そして重たい荷物をおろすため、旅行会社に指定されたホテルを人伝いに探した。私の滞在するホテル、「ノーマッドホテル」はバスていのすぐ近くにあった。

ノーマッドホテルは岩をくり抜いて作ったホテルだった。バックパッカ―の私にとっては少し豪華なホテルかもしれない。白い岩に囲まれたホテルは、とても良い雰囲気だった。

ホテルに着くと、ホテルの人々が朝食をとっていた。どの料理もとてもおいしそうである。部屋を案内されると、イスタンブールのホテルと同じドーム(共同部屋)だが、ベットはスプリングがきいていてとても気持ちの良いものだった。部屋はまさに岩をくり抜いたもの。外にいるより少し涼しい。

トルコの東部は、イランやシリアが近いので少し治安が悪いと聞いていたが、宿の主人に聞くと、
「治安は悪くない」
という。周りを見ると、キャンプ場もあちこちにあるので、テントを使ってキャンプをしても良かったかもしれない。

カッパドキアツアーは明日だ。今日はフリーなので、治安は悪くないことを聞いた私は、すぐに外に出かけて歩き始めた。


「朝食」
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カッパドキアは広い。広大な大地にたくさんの歴史的建造物がある。私は有名どころはツアーに任せるとして、ホテルがある町ギョレメ周辺を歩きまわることにした。

ギョレメの物価は、見たところイスタンブールの観光地並みの高さだ。きっとこの町ギョレメは、観光地として栄えているところだからだろう。どのレストランを覗いても、10TL(700円)出さなければ満足に食事できそうになかった。

私は仕方ないので、近くのスーパーで、カップケーキ二つ(0.5LT×2:70円)と、バナナ(1TL:70円)を購入して、朝食とした。

「カッパドキア探索」
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朝食を食べ、私はギョレメを出発し、ホテルでもらった地図をもとに何もない場所を一人で歩いた。周りには何もない。誰もいない。広大な草原や小麦畑が広がるだけだ。そんなところをただ一人で歩いた。

しばらくすると、小屋が見えてきた。なんとそこから、放し飼いの大きな犬が、私に向かって走ってくるではないか。やばい・・・そう思ったところ、ちょうどその犬の飼い主らしき人物がやってきて、犬を止めた。助かった・・・どうやら、そこは牧場の入口で、犬はそこの番犬のようだ。

私は別の方角を進み、歩き続けた。しばらくすると、今度は馬の群れがいるではないか。今度は馬か。こいつらに襲われたら犬ごときではすまい。そうもい、恐る恐るその場を歩いた。しかし、良く見たら、馬には手綱がついていた。馬はそこからある程度の範囲しか動けないようようになっている。私は人安心してその場を歩いた。

しばらくして、Cavusirという町に着いた。そこの近くに、岩をくり抜いて作ってある家々がたくさんあった。まさにカッパドキアである。この町の近くには、ローズバレーという岩が広がる。ホテルにあるガイドブックに、周りには何もないのでツアーで行った方が良いと書いてあったが、問題なく一人で行ける。

レッドロックのふもとには、岩をくり抜いた町の遺跡があり、そこから上は大きな岩ローズバレーが広がる。ローズバレーはとても大きかったが、どうせならこのローズバレーの一番上に行って良い景色を眺めたいと思い、私はローズバレーのてっぺんを目指し、登っていった。

最初はなだらかな坂だが、だんだん坂が急になっていく。ここら辺の岩はもろいので、あまり急な坂だと危険であろう。しかし、てっぺんまで行くと決めた私はとにかく登った。しばらくして、坂が崖となり、登ることができなくなった。崖はたった2メートルくらいである。これくらいならいけるかもしれない。そう思ったが、もしも私が落ちても誰も気づいてくれないし、助けてくれない。なにせ、そこの辺りには人影がまったくなかったからだ。なので、私は諦めることにした。残念である。

しかし、すでに頂上近くまで登っていた私はとても眺めの良い景色を見渡すことができた。あたり一面に広がるぼこぼことした岩が連なる広大な景色は、とても魅力的だった。そこまで登ったかいがあったものだ。

「昼食」
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時計を見ると、すでに12時を回っている。お腹がすいてきたので私は急いで下に降り、レストランを探した。

しかし、やはり観光客用の高いレストランしか見当たらない。そこで私は、ここの地域の住民が行きそうなお店を探し、チェリージュース(1TL:70円)、アプリコット5つ(1kg3LT:私は5つ買い、0.50LTだった)を購入した。どの地域にも、地域の住民用の安いスーパーやお店があるものだ。そういった場所を見つけ、その住民が食べるものを同じように食べるのも、旅の醍醐味のひとつである。

私は朝食を済ませ、再び私の泊まる町ギョレメに歩いて引き返した。歩いて30分で到着する。この日は本当に暑い。そこで私は水(1.5リットル, 1TL:70円)を購入し、のどを潤した。

「壊れた靴」
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そしてホテルに向かってあるいていると、ベリっという音がした。見てみると、靴の裏側のゴムがはがれてしまっていた。イスタンブールでも、カッパドキアでも、私はあまり交通機関を使うことなく歩いて移動していた。たくさん歩いたのだ。早くも靴に限界が来たようだ。

靴は父から貰ったものだ。なかなか履きやすく、毎日長い間歩くことができるのは、この靴のおかげだった。しかし、カッパドキアの急な坂には耐えられなかったようだ。私はできることならこの靴を直して再び使いたいと思い、靴の修理屋を探した。しかし町の人に聞くと、私のホテルがあるギョレメには、靴の修理屋はないという。近くにこの地方で一番大きな町、ネヴシェヒルがある。この町に行けばなんとかなるかもしれない。そう思い、私はネヴシェヒルに行こうと決めた。

「洗濯」
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その前に、私はホテルに帰って洗濯をしなければならなかった。そろそろ洗濯をしなければ、着るものがなくなってしまう。ホテルの洗濯機を使うと、10TL(700円)もしてしまう。イスタンブールで止まっていたChillOut Hostelでも同じ値段だった。どうやらこの値段が洗濯の相場らしい。

私にとってこの値段は高い。なので、自分で洗濯することにした。シャワーの近くにある洗面台に水をため、日本から持ってきた小分けの洗剤を入れる。そこに汚くなった衣類を入れて、すすいだ。外には洗濯物を干すスペースがちょうどあったので、そこに干した。ここカッパドキアの気温と乾燥した気候ならばすぐに乾くだろう。

「ネヴシェヒルへ」
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洗濯を終えた私は、靴を直すためこの地方最大の都市ネヴシェヒルに向かった。

ネヴシェヒルへはバスで30分、1.75TL(122.5円)で行ける。トルコの公共交通機関は安い。日本もこれくらい安ければいいのに。

ネヴシェヒルは大きな町。私の住むギョレメは観光街だが、この町は庶民のための街なようだ。物価はとても安い。ラム(羊肉)が入ったサンドイッチがなんと1TL(70円)で売っている。お腹が空いていたので、すぐにでも食べたい気分にさせられたが、夜遅くなってはギョレメに帰れなくなるので、まず靴の修理屋を探すことを優先した。

街の人に靴の修理屋を聞くが、街のほとんどの人が英語を話せない。カッパドキアに近い都市だというのに観光客は全くこの町に来ないせいか、アジア人である私をとても珍しい目で見てくる。この地方の人々はとても人が良く、親切だ。道を聞いても親切に答えてくれるし、イスタンブールの露天商が、観光客相手にボルようなことはない。この町はイスタンブールとは別の顔を持つ。私はそういった意味でこの街を気に入った。

「修理屋のおじいさん」
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あまり英語が得意でない街の人々の案内を数回聞き、やっとのことで靴の修理屋を見つけた。その店は修理を行うためだけに作られたような小ささだ。店の主人はいかにも職人らしいおじいさん。

英語が全く話せないので、近くにいる青年に通訳してもらった。おじいさんいわく、20TL(1400円)というが、青年いわく、10TL(700円)でいいという。どうやらこのおじいさんは私が日本人だからとぼっているようだ。青年は親切にも私に正規の値段を教えてくれた。

修理には時間がかかるというので、私は夕食をとるために街を歩いた。

「街の人々」
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私は先にも述べたとおり、この街ネヴシェヒルの人々が好きだ。皆親切だし、見ず知らずの旅人である私にいつも笑顔で接してくれる。

まず私は、先に発見した羊の肉を挟んだ1TL(70円)サンドイッチを購入した。ボリュームがあり、とてもおいしい。隣にもおいしそうなクレープを焼く店があったので行くことにした。一枚1.5TL(105円)でポテトを主とした具の入ったクレープだ。人気があるのか、たくさんの人がクレープや併せて売られている焼き菓子を買いに来ていた。アジア人がとても珍しいらしく、細い目をする私を見るなり、目の横を引っ張って目を細くし、
「なんて細い目をしているんだ。」
といわんばかりの素振りをしてくる。クレープを作っている写真を撮りたいと言ったら快く応じてくれた。

その近くにあるスーパーに入り、フルーツ売り場を眺めていると、店の人が私にフルーツの買い方を丁寧に教えてくれる。トルコは、野菜や果物が量り売りである。フルーツを袋に入れて重さを量る機械に置き、そこから出てくるバーコードを袋に貼ってレジに持っていく。チェリーが1kg3TL(210円)、マスカットが1kg1.50TL(105円)で売られていた。私はチェリーを0.30TL(21円分)、マスカットを0.18TL(12.6円)分しか買わなかった。店の人はそれだけしか買わないのかと言わんばかりの表情である。しかし、独り身の私にとってはそれで十分な量だった。

この街で手に入れた食べ物はどれもおいしく、とても安かった。お店の人も親切で感じが良く、とても良い街だ。

「再び靴の修理屋へ」
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靴の修理を頼んで一時間が経ったので、私は修理屋へ戻った。おじいさんは私の靴を既に直し終え、他の靴の修理をしていた。

おじいさんは私から20TL(1400円)受け取ろうとしていたので、私が10TL(700円)払うと、少し不満げだった。しかし、修理のできはとても良い。剥がれた靴底を丁寧に手で縫ってくれていた。私がとても感謝すると、おじいさんの不満げだった顔は一転して笑顔になった。

「どうだ、もう靴底は剥がれ落ちないだろ。」

直した靴を手にとって私に見せてくる。とてもいい仕事をしてもらった。ありがとう、おじいさん。

「トルコの結婚式」
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ネヴシェヒルからギョレメのノーマッドホテルに戻り、ホテルの食堂でこの日記を書いていた。すると、外からとても賑やかな歌が流れてくる。ホテルの人にこの歌はどこからと聞くと、
「近くで結婚式をやっているんだよ。トルコの結婚式は3日間通して皆でダンスパーティして結婚をお祝いするんだよ。」
彼によると、これはイスラム式の結婚式なようだ。今からその結婚式に行くというので、私もついていくことにした。

そこでは、たくさんの人が円をつくり、思うがままにダンスしている。手を振り腰を振り、激しく踊って楽しんでいる。音楽はミュージシャンを招いての生演奏だ。リズム感のある音楽が、ダンスを盛り上げる。

一緒にどうかと誘われたので、私もダンスに参加することにした。私にこうだ、こう踊るんだと、私の前に来て踊る。私も見様見真似で踊る。トルコのお酒ラクやワイン、つまみとしてたくさんのナッツも振舞われる。

とても楽しい夜だった。

「旅を始めて一週間」
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今日で1週間が経過した。あっという間の1週間だ。私はあと4日間トルコに滞在する予定だ。少しトルコに滞在しすぎかもしれないが、長くいればいる程トルコを知ることができ、とても楽しい。しかし先を急がねばならない。ロンドンまでの道のりはまだ長い。

タケノコ

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