7月18日 イタリア(2):ローマ&ヴァチカン 「想像を超えた建築群」

「ローマに無事到着」
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午前6時半頃、特別に乗せてもらったバスは無事ローマに到着した。椅子なのでなかなか寝付けなかった上、昨日重たいザックを担いで走りまわったので疲れがたまっている。まだ少し眠かった。

眠かったのでしばらくバスターミナルのベンチでボーっとしていた。空を見ると雲行きが怪しい。私は旅に出てまだ一度も雨に遭遇していないが、もしかしてそろそろ雨が降ってくるのではないか。雨が降っては色々大変だ。私はそうなる前に、急いで宿を探そうと腰を上げた。

しかし、このバスターミナルはローマのどこかわからない。隣の人に聞いてみても、英語が通じない。私はとりあえず、皆がバスターミナルに向かって歩いてくる道を進んだ。そしてしばらくすると、イタリア国鉄の駅が見えた。よく見ると、地下鉄もあるようである。駅名はティブルティーナ(Tiburtina)だ。

『地球の歩き方ヨーロッパ』によると、ローマの中心駅であるテルミニ(Termini)駅の周辺にたくさん安宿が広がっているというので、私はとりあえずテルミニ駅に向かうことにした。

「テルミニ駅」
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ティブルティーナ駅からローマ地下鉄B線で4駅、すぐにテルミニ駅に到着した。ローマの地下鉄駅は何だか薄暗く、少し汚い。やってきた電車はやはりスプレーで落書きがされている。世界どこに行っても列車には落書きがされている。落書きがないのは日本くらいではないか。以前新幹線に落書きがあっただけで新聞報道されていた。しかし海外では日常茶飯事であろう。誇り高き日本の列車である。

駅を出て地上に出ると、そこには巨大な駅は広々と現れた。駅には20番線を超えるプラットホームがある。さすがイタリア首都の中央駅である。

『地球の歩き方』によると、駅のインフォメーションで宿の紹介をしてくれると書かれていたので、私はとりあえず情報を探るためにインフォメーションに行った。インフォメーションには数人が列を作っている。私はその列に並び、10分ほどで私の番が回ってきた。すると係員は私に、
「ホテル紹介サービスは9時からです。それまで外で待っててください。」
時刻はまだ8時ちょっとすぎ。仕方がないので、私は外で待つことにした。

「ユースホステル」
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私はローマにユースホステルがあることを思い出した。せっかくまだ時間があるので、訪ねてみようと思ったが、ここから地下鉄に乗ってバスでいかなけれなならないと『地球の歩き方』に記されている。ここからユースホステルに行って満室だったら時間の無駄なので、私はここから公衆電話で電話をかけることにした。

最初、公衆電話の料金がよくわからなかったが、どうやら0.50ユーロ(65円)から電話がかけられるそうだ。私は『地球の歩き方』に書かれているユースホステルの電話番号に電話をかけてみた。すると、なにやら音楽がながれてイタリア語でしゃべっている。番号が違うのか。しかし、公衆電話に表示されている番号を確認すると、『地球の歩き方』に書かれているものと同じだ。どうやら番号が違うようである……

今は夏で旅行シーズン真っただ中。ユースホステルが満室の可能性は高い。直接いって断られたら電車賃等は無駄となる。私はそう思い、ユースホステルに行くことを諦め、駅のインフォメーションが開くのを待った。

「使えない駅のインフォメーション」
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インフォメーションに戻ると、そこには長い列がある。列は一列だが、その列はチケット販売の窓口や両替の窓口のために並ぶ客が交じっている。先に並び、営業を再開するまでホテルの紹介案内所の窓口の前で待った方がすぐにサービスを受けられると思い、とりあえず列に並ぶ。そしてホテルの紹介案内窓口の前に行くと、
「まだ開いてないので、外で待っていてください。」
「ここで待っていてはだめなんですか?」
「ダメです。外にいてください。」
しょうがないので、私は外で待つことにした。こうした公共機関の窓口の頭の固さも万国共通なのだろうか。

9時10分くらい前になったとき、私はそろそろだと思って列に並び始めた。そして9時ちょうどになった時、私の前のグループがホテルの紹介案内窓口に向かった。1番初めになれなかったのは残念だが、2番目なのでまぁ良いかと思った。しかし、前のグループは窓口の人と10分も話している。ホテルの条件等で色々合わなかったのだろうか。遅い。

そしてついに私の番が来た。
「この辺りで安いホテルを探しています。安ければその方が良いです。」
そう告げると、窓口にいる黒縁めがねをかけた若い女性はパソコンを使って探す。するとすぐに探してくれた。場所はこの駅の近く、料金は一泊15ユーロ(1950円)。文句なしの条件だ。私はすぐにそこにすると即決した。

そして彼女はクレジットカードを出して下さいと言う。前払いの宿泊料金の10%とネットの手数料2ユーロ(320円)をクレジットカードで支払わなければならないようだ。そして私はクレジットカードを差し出した。そしてさらに彼女は、
「8ユーロ(1040円)の現金も用意してください。」
え?8ユーロ?これも宿泊料金の前払いだと思ったが、聞くとどうやらこの紹介サービス料金だと言う。紹介されただけで8ユーロかかってしまっては安宿を紹介されても話にならない。しかも、パソコンの画面を見ると、私も使ったことのあるホテル予約サイト「HotelsClub.com」を使って検索しているだけではないか。このサービスを使わなくてもそんなことネットカフェに行って0.5ユーロ払えばできてしまうことをなぜ8ユーロも払わなければならないのか。私はそう思ってその場で断った。

「地球の迷い方」
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上記のインフォメーションは、『地球の歩き方』には「いつも長~い列」と書かれているだけだ。サービス料が8ユーロかかることを明記してほしいものである。

私はしょうがないのでテルミニ駅周辺を歩いて探すことにした。『地球の歩き方』に書かれている「M&J Place Hostel」。ここは駅から近く、値段も15ユーロ(1950円)からとお手頃。早速訪ねてみた。

行くと、部屋は空いているという。夏である観光ハイシーズンにしてはラッキーである。そして値段を聞くと、
「30ユーロ(3900円)だよ。」
え?30ユーロ?地球の歩き方を見ると最低15ユーロだが、ホテルのポスターを見ると最低15ユーロから始まる。30ユーロは高い。

ユースホステルへの電話のときといい、このホテルの値段といい、『地球の歩き方』の情報に頼るとあまり良いことがない。聞くと、バックパッカ―の間では『地球の歩き方』のことを『地球の迷い方』と言うそうだ。なぜなら、でたらめが多いからである。ロードス島で会った日本人モトさんは、エジプトで『地球の歩き方』を持って旅行中、
「あ、持ってるんだね!『地球の迷い方』!」
と言われたらしい。この旅行書は日本人海外旅行者の90%が持っていると何かで読んだことがある。なぜこの『迷い方』にこれほど支持が集まるのか。『地球の歩き方』のブランド力はなぜこれほどまであるのだろうか。謎である。

「ホテル・マリ」
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もう『地球の歩き方』のホテルガイドを参考にするのはやめよう。そう思った私は近くにあるインターネットカフェで、先ほどインフォメーションが使っていた「HotelsClub.com」を使ってホテルを探すのが手っとり早いと思い、早速インターネットカフェに行った。

「HotelClub.com」で検索すると、この近くにホテル・マリ(Hotel Mari)というホテルがなんと1泊15ユーロ(1950円)で泊まれると出てきた。きっとさっきのインフォメーションで言っていたのはここだろう。そう思ってこのホテルを予約しようと思ったが、このサイトで予約すると手数料が取られてしまうので、私は直接出向くことにした。

ホテル・マリはインターネットカフェから歩いて10分ほどで着いた。途中、入口に迷って通りすがりの人に地図を見せて場所を聞いたが全く違う場所を案内された。通りすがりの人に道を聞く時は、本当にその人が知っていそうかどうか見極めなければよけいに迷う。

ホテル・マリは2Fにあったが、扉は閉じている。チャイムを鳴らしても何も反応しない。良く見ると、扉の隣にはポスターが貼ってあり、
「用のある方は4Fに上がって下さい。」
と書いてある。私は案内に沿って4階に上がった。すると半開きした扉があり、そこで掃除をしているおばさんがいる。そして私が英語で、
「今日ここに泊まりたいのですが、部屋はありますか?」
と聞くと、イタリア語で、
「※※※※!」
と言う。全くわからない。私が何度もトライしても全く会話にならなかった。
「※※※※!」
「※※※※!」
「※※※※!」
彼女の声は段々大きくなってイライラしだしてくる。私はもううんざりして帰ろうとすると、上の会談から若いイタリア人女性が現れた。私は彼女なら英語がわかると思い、英語が話せるかと聞くと、やっぱり話せると言ってくれた。そして通訳をしてくれた。宿のおばさんは、
「予約はしていますか?」
と聞いてくる。どうやらさっきの「HotelClub.com」で予約しているかどうかを聞きたかったようだ。
「していないです。」
「それじゃあ無理だね。でももう一つHotel Mari 2があるからそっちを当たってみな。」
「料金は?」
「20ユーロ(2600円)だよ。」
少し高い。これならもう少し安いところを探せそうだ。それに、先ほどイライラして声が大きくなっるような女性が経営する別のホテルに行きたいとは思わなかったのだ。

それにしても、ようやくまともな会話ができるように通訳をしてくれたこの女性には本当に感謝である。

「エンジョイ・ホテル」
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私は再びインターネットカフェに行き、「HotelsClub.com」でほかのホテルを探した。すると、一泊17ユーロ(2310円)のホテル「エンジョイ・ホテル(Enjoy Hotel)」を発見した。なんだか面白い名前である。この駅から歩いて少し遠いが、ここならばと思った。

さっきの「ホテル・マリ」は部屋が空いていても、ネットで予約しなければ泊まれなかったのだろう。なぜなら、今この「HotelsClub.com」で予約できるのだ。意味がわからないが、ネットでなければダメらしい。多分他も同じではないか。このサイト以外で歩いて探してもいいが、このハイシーズンで良いホテルが早々に見つかる可能性は低い。そう思って私はこのサイトに2ユーロ手数料を支払い、このホテルに決めて予約した。

テルミニ駅から20分程歩き、私は「エンジョイ・ホテル」を発見。大きな建物の扉の横にあるインターフォンを押すと鍵が空き、中に入る。すると「2階へ」という看板があるのでそれに従って行く。

ホテルでは、インターネットの予約票を見せると、それを見せるだけですんなり部屋へ通してくれた。「HotelsClub.com」は手数料がかかるが、とても便利である。

部屋はドミトリー(共同部屋)。しかし、中に入ると皆頭を刈上げた4人のグループが部屋を陣取っている。彼らは何だか異様な雰囲気である。この部屋は寝るだけにしよう。そう決めた。時計を見ると、現在午前11時。約3時間の宿探しはようやく幕を閉じた。

「ついにローマ散策!」
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ついに念願のローマ散策である!私はついこの間、映画館で映画『天使と悪魔』を観た。高校生の時に夢中になって本でも読んだのだ。

この物語の舞台はここローマ。映画に出てきたカトリックの総本山、ヴァチカン市国のサン・ピエトロ寺院には絶対に行きたいと思っていたのだ。寺院の前には広場があり、そこには無数の聖人像が並び、寺院の内装はとても豪華だった。そして8億人いるカトリック教徒の総本山、それ自体が国となっている世界最小の国ヴァチカンは一体どんな場所なのだろうかという関心もあった。

しかし、サン・ピエトロ寺院のある場所は私のエンジョイ・ホテルのあるマッジョレー門からはだいぶ離れていた。地下鉄でダイレクトにサン・ピエトロ寺院に行くのもありだが、せっかくなのでローマという街を観察しながら歩いていくことにした。

「荘厳な教会たち」
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ローマの地図を見ると、近くに「サン・ジョンヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂」がある。この大聖堂は、先ほど述べたヴァチカンがカトリックの総本山になる前にカトリックの中心となっていた場所だったそうだ。以前カトリックの中心だった場所なのだ。きっとすごい場所に違いない!私は胸を膨らましてこの大聖堂に向かった。

途中、地図に小さく載っている教会「サンタ・クローチェ・ジェルザレンメ聖堂」があった。地図に小さくといっても外見は大きい。せっかくなので入ってみることにした。

この教会でも他の教会と同じように、やはり服装に厳しいようだ。肌の露出の多いものを着ていた場合は入館を禁じられる。しかしそんなものを着たことがない私は難なく入ることができた。

小さいと思っていて私はこの教会を見くびっていた。なんだ、この豪華な内装は!天井にはいたるところに美しくてリアルな絵が描かれている。そして壁のいたるところに細かな彫刻が彫られている。それは一部ではない。建物の内部全体に広がっているのだ。今まで旅してきた中で早くも一番豪華な教会となってしまった。こんな豪華な教会が地図に小さく載っているだけということは、大きな教会はいったいどんなに素晴らしいものなのだろうか。益々胸が膨らむ。

私が行った時には運が良いことにちょうど結婚式が内部で開かれていた。どうやら、このあたりの教会は結婚式でも一般公開されるようだ。結婚式の様子は他の観光客にもカメラでその様子を撮られていた。私もカメラでその姿を捉えた。

天井にある天使の顔はあまり冴えない。何故だろうか。何か意味はあるのだろうか。天使だったらもっと笑って欲しいものだと私は無知識にも思ってしまった。

「旧カトリック総本山:サン・ジョンヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂」
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聖堂を出て、次に向かったのは旧カトリック総本山、サン・ジョンヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂である。旧カトリック総本山である。少なくとも先ほどの教会よりすごいものだろうと再び期待する。そして長い通りを歩いて見えてきたのは、大理石でできた巨大な大聖堂。そう、それがサン・ジョンヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂だった。

それにして巨大である。この建物を前にすると人間が虫のように見えてしまう程だ。こんな建物を昔の人が建築することが可能なのか。目を疑ってしまう。

内部に入る。その内部は私の期待以上、想像を超えていた。高い天井と、その周りに埋め尽くされている無数の彫刻はまさに芸術である。人物像は今にも動きそうなほどリアルだ。装飾のために掘られている細かい花や葉っぱなどは、これが石の彫刻で制作可能なのかと思えるほど精密で細かい。驚きの連続である。

サン・ピエトロ寺院はこれ以上なのだろう。何なんだローマは。

そしてこのような素晴らしく壮大な建築を造り上げる宗教の力というものはすごい。改めてそのパワーを肌で感じた。

「コロッセオ」
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次に向かったのは象徴的な遺跡、コロッセオ。かの昔、円形闘技場として猛獣と人間、もしくは人間どうしがなんと殺しあったりしていたそうだ。昔にはそんな娯楽があったとは驚きである。まるで漫画『幽々白書』の世界だ。

しかし、私はコロッセオを目の前にして強烈な睡魔が襲ってきた。前日から駅泊、船泊、バス泊が続いて疲れが溜まっていたし、睡眠不足だったのだ。そこで私は疲れを癒すためにコロッセオの近くにあるオッピオ公園に行って木陰の芝生に寝っ転がった。そしてそのまま一時間寝た。ローマの中心で寝っ転がって寝るとはなんだか贅沢な気分だった。

オッピオ公園で寝た後、私はコロッセオに向かった。

入場料は12ユーロ(1560円)と高かった…通常は9ユーロ(1170円)なのだが、今回は特別展をやっているそうなので3ユーロ(450円)足される。コロッセオだけを見たい私にとっては運が悪い…国際学生証も残念ながら使用できなかった。18~24歳ならEU市民でなければ割引がきかないようだ。残念である。

コロッセオは思ったより巨大な建物。広さだけでなく、高さも高い。以前は大理石が表面に貼られていたそうだが、今はその大理石は見当たらなかった。レンガの下造りがむき出しとなり、形が崩れているところが多い。完全に遺跡と化している。登れるところまで登って上から見るコロッセオの姿はまたすごい。舞台の下には猛獣の檻等があったようで、舞台がない今はその姿が丸見えである。一体どんな猛獣がいたのだろうか。

「パラティーノの丘/フォロ・ロマーノ」
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コロッセオの入場券はパラティーノの丘という場所への入場券と共通になっていた。なのでコロッセオを出た私は早速近くにあったパラティーノの丘に向かう。

パラティーノに向かう途中、再び結婚式をしている途中であろうウエディングドレスとタキシードをそれぞれ着たカップルが通りで写真を撮っているところに遭遇した。なんだか今日はよく結婚式を目にする日である。もしかしたら、ここローマは結婚式を挙げるのに人気のある場所なのかもしれない。

パラティーノの丘は、最初何がある場所かよくわからなかったが、日本語のガイドブックを大きな声で読み上げていた私の近くのおばちゃんによると、
「ここは、昔の貴族たちが住んだ高級住宅街の跡地である。」
だそうだ。

たしかに、広々とした土地にいかにも大きな家であったような跡がたくさんひろがってるので、納得した。中には考古学博物館があり、展示品はわずかだが、昔の石像等を楽しむことができる。

このパラティーノの丘は広く、しかも行き止まりが多いため、順路がよくわからなく少し迷ってしまった。「出口」と書かれているのに、その先が工事中だったりするのだ。早く次の場所に行ってみたかった私は少々困った。

パラティーノの丘にはフォロ・ロマーノがある古代ローマの市民生活の中心地であり、政治・裁判・商業取引などが活発だった場所だ。ここには柱や建物がたくさん残っているため、当時この場所が繁栄していたことが容易に想像できる。

そのフォロ・ロマーノの中には、なぜだかよくわからないが最近の現代彫刻が数体置かれている。遺跡は遺跡として楽しみたいところだが、なぜここに雰囲気の全く違う彫刻が置かれているかは謎である。しかし観光客にはその異様さが人気なのか、有名だから人気なのかよくわからないが、よく写真に撮られていた。

「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂」
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フォロ・ロマーノの奥へ行くと、何やら白くて大きな建物がある。フォロ・ロマーノから出たらすぐにその場所に向かった。

しばらく歩くと、その姿が全て現れた。なんだこの大きな建物は!!真白な大理石で作り上げられたその建物にはたくさんの銅像や石像が並べられている。一体何体像があるのだろうか。数え切れないほどたくさんあるのだ。建物の横幅も広いことながら高さも高い!何段にもわたって上へと広がる階段は、この建物の荘厳さを演出している。

この建物はヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世がイタリアを統一した記念に作ったそうだ。記念でこんなにすごいものを作ってしまうとは、当時のヴィットリオ・エマヌエーレ2世は相当な富と権力を持っていたのだろう。

イタリア統一を象徴しているのだろうか、2本の大きなイタリア国旗が掲げられているのもまた印象的である。

やっぱりローマはすごい。まだこんなに豪華で大きな建物があったとは。ギリシャの遺跡もまたよいのだが、ほとんどがもう遺跡である、あまり綺麗な状態で残っているとは言い難いが、ローマの建物は美しくその原型をと留めているものが多い。時代が全く違うのかもしれないが、美しく形をとどめるこの建物達があるローマに私は感動するのだ。

このヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂はなんと2000年に30年ぶりに公開されたというのだから、運が良い。入場料も特にかからなかった。やはり神聖な場所のようで、あるアジア人が階段に座って写真を撮ろうとしていると、座ってはだめと注意されていた。

建物の中にも入れ、そこは無料だった。そこには戦争の戦いの様子が彫られた像や絵画がたくさん飾られている。活躍した将軍は、そこに誇らしげに銅像となり、歴史に名を残していた。

「ランチタイム」
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すでに午後3時。私はなにかおいしくてお手頃な値段のものはないかと根気よく探していたが、そろそろお腹の限界が来た。そこで私はガラスケースにたくさんのピザなどが並ぶターヴォラ・カルダに入った。

ピザはkg単位で売られている。私は2ユーロ(260円)分ピザを切ってもらうように頼むと、店員はピザを目分量で切る。少しオーバーして2.30ユーロ(299円)分の大きさとなったが、私はそれで良いと思って購入した。

ピザはトマトとモッツァレラチーズが載ったスタンダードなもの。しかしやはりイタリア、単なるテイクアウトのお店でもピザはおいしい。赤ワインの味が効いて、なんだか上品である。上に載るトマトはフレッシュトマトなのでとてもジューシーだ。オリーブオイルに良く合う。なんだかみみっちい買い方をする私でも十分に満足できる食事が楽しめるのがイタリアであろう。

「ティラミスのジェラート」
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ランチを食べ終え、地図を見ると、あと少しでヴァチカン市国に到着することがわかった。ヴァチカン市国のサン・ピエトロ寺院の高さは高いので、私は歩きながらそろそろ見えてこないかなと辺りを見渡したりしていた。

そうして少し歩いたところにとてもおいしそうなジェラート屋を発見。ランチを少し抑えたし、まだイタリアに入ってジェラートを口にしていなかったので食べることにした。ジェラートはたくさんの味を選んで盛ることができるようだったが、私はティラミス一つを選んだ。値段は2ユーロ(260円)。

出てきたジェラートはボリューム満点。とてもおいしそうである。そして一口舐める。なんだこのおいしさは!外が暑かったのでよけいにおいしく感じた。このティラミスはお酒の味が強く、やはり上品な味わい。私はおいしすぎて、もう少しゆっくり食べるつもりが一気に食べてしまった。まさに極楽である。

「サンタンジェロ城」
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ヴァチカン市国を目指し、V.エマヌエーレ2世通りを歩くと次に見えてきたのが、「ヌオーヴァ教会」。中に入ると、ここの教会も地図に小さく書かれているだけなのだが、やはり内装が素晴らしい。金色が多く使われているので、その豪華さを際立てる。
「きっとサン・ピエトロ寺院はこれ以上にすごいのだろう。」
ヴァチカン市国への期待は高まるばかりである。

再び通りに戻り、ヴァチカンに向かって進むと、右手に映画『天使と悪魔』で観たことのある円柱の形をした砦、サンタンジェロ城の「ハドリアヌス亭の砦」が見えた。

私は見てみようと近づくと橋に出る。ローマの川テヴェレ川を掛けるサンタンジェロ橋である。この橋にもたくさんの石像が置かれている。ローマは本当に石像だらけだ。それだけ昔ブームだったのか、それともそれだけ敬うべき人がいたのだろうか。どちらにしても、こんなにもたくさんの石像を造り上げる力はすごい。

サンタンジェロ城に入るには入場料が必要だった。値段は8ユーロ(1040円)。せっかくなので入りたかったが、この値段は高いので私は諦めた。

「ついにやってきた!ヴァチカン市国!」
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そしてサンタンジェロ城から西へ向かう。すると、ついに現れたのがサン・ピエトロ寺院である。やった、念願のサン・ピエトロ寺院についにたどり着いた!

サン・ピエトロ通りへと続くコンチリアツィオーネ通りにはオベリスクのようなものにランプをつけたものがたくさんならぶ。このランプがこれからヴァチカン市国に入るのだという気持ちをより一層際立てる。

そして通りを抜けると、そこには広々としたサン・ピエトロ広場が現れた。中心には垂直に立つ大きなオベリスクが建ち、広場の周りにはなんと140人の聖人像がならぶ。『地球の歩き方』によると、明日正午には教皇が書斎の窓から顔を出し、集まった人々を祝福するのだという。その時にはこの広い広場がたくさんの信者で埋め尽くされる。カトリック信者11億人の総本山がこの場所なのだ。そう思うと鳥肌が立ってきた。

「サン・ピエトロ寺院へ」
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サン・ピエトロ寺院の中に入ってみよう。たくさんの信者が並んでいたので少々時間がかかる。寺院には正面から右手からしか入ることができない。入る時にセキュリティーの人が一人一人服装をチェックする。肌の露出が多ければそこでアウトだ。さすがカトリックの総本山。チェックが厳しい。私の前にいたおばさん達は肩が出た服を着ていたので、セキュリティーともめていた。

セキュリティーを通り、ついに内部に入る。すると、そこには想像以上の世界が広がっていた。天井はとてつもなく高い。こんなに高い天井なのに、その隅々にまで絵が描かれている。どのようにして描いたのだろうか。壁には細かな彫刻が手が抜かれうことなく隅々になされる。私が入館したのは午後6時頃。太陽は西にある。サンピエトロ寺院の正面は西に向けて造られており、その太陽の光が天井の窓から注ぎ込むのだ。その光はまさに神秘で美しい。自然の光を最大限に活かした造りとなっているその建物に私は魅了された。

「ミケランジェロ作・ピエタ」
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入って右側にはガラスケースに入れられた美しい女性像がある。私はこの旅で多くの像を見てきたが、無表情のものが多く、石像だから当然かもしれないがあまり生きているような感じがしなかった。しかし、この石像はどことなく生命感があふれている。その表情はやわらかく、優しそうで、とても美しい。ガイドブックによると、この作品はかの有名なミケランジェロ作「ピエタ」だという。彼が25歳の時に作った作品だという。そんなに若くしてこのようなものが作れるとはやはり彼は天才なのだろう。

「宝物館」
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サン・ピエトロ寺院の左手奥に宝物館という場所がある。入口がどこかわかりにくいが、たくさんの人が中に入っていく入口があったので、そこだと思って入った。料金は国際学生証の提示で3ユーロ(通常6ユーロ)。

あまり人気がないようで、中に入っても人があまりいなかった。中には歴代教皇の服や豪華な蜀台などの聖道具が展示されていた。それぞれにはたくさんの宝石等が埋め込まれている。ヴァチカン市国の力を思い知らされる場所である。

「ヴァチカンの日曜日」
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サン・ピエトロ寺院に隣接するシスティーナ礼拝堂にも行ってみたかった。ここは天井に聖書に沿ってフレスコ画が描かれており、かの有名なミケランジェロの「最後の審判」がある場所である。しかしどうやら今日はもう入ることができないようだ。しかも明日は日曜日なのでお休みだという。どうやらヴァチカンの施設は、日曜日はどこもお休みであるようだ。さすがキリスト教国家である。

明日でローマを発とうと思っていた私は、ちょうっと困ったが、システィーナ礼拝堂にも行きたかったし、ヴァチカン博物館にも行きたかったので、私はローマにもう一泊することに決めた。

帰り道、私は疲れ果てていた。前日から駅泊、船泊、バス泊が続き、十分に眠ることができていなかったからだ。睡魔は限界まできている…最初、サン・ピエトロ広場の隅に座って睡眠を取ろうと考えたが、神聖な場所でそれもどうかと思ったので、私は地下鉄で一直線にホテルへ向かった。

サン・ピエトロ寺院の近くにあるOttabino駅から地下鉄A線でホテルの近くにあるManzoni駅まで行った。Manzoni駅は『地球の歩き方』によると、「工事中」と書かれているが、地下鉄の乗客に聞くと、そんなことはないそうだ。もう工事は終わったのだろう。

「イタリアの中華料理」
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Manzoni駅は工事を終えたばかりなようで、とてもきれいな駅だった。駅からホテルへ向かう途中、中華料理屋を発見した。しかも値段が安い!「カレーチャーハン」がなんと2.50ユーロ(325円)なのだ!イタリアに来て中華料理も微妙だが、私はまた久し振りにご飯を食べたかったこともあり、この中華料理屋で食べることにした。

出てきた料理は本当にシンプルである。カレーで味付けされたチャーハンに、グリーンピースとニンジンが加えられているだけである。しかし、久し振りのご飯はとてもおいしかった。

「ホテルへ」
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ホテルに着くと、部屋には全員再び頭を丸刈りにしたグループが集まっていた。なんだか異様な雰囲気である。私はとにかく眠たかったので、まだ午後7時半ごろだったが、歯磨きだけ済ませてすぐに寝た。

タケノコ

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