7月16日 ギリシャ(10):パトラ 「イタリアへ」

「起床」
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駅には夜中にも何度か電車がやってきたため、何度か起きた。一度2人の若者がやってきて話しかけられたが、何を言っているのかよくわからない。しかし別に何ともなかった。

無事寝ることができ、起きたのが午前6時30分頃。その頃はもうすでに人が数人駅で電車を待っていた。

私は朝食をとるためにスーパーに向かったが、スーパーはまだやっていなかった。開店時間は8時30分と書いてあったので、それまで本を読むことにした。

「平凡な一日」
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8時30分になり、私はスーパーへ行き、朝食を購入した。バナナ(0.32ユーロ:41円)、チェリージャム入りクロワッサン(0.58ユーロ:72円)、そしてフルーツヨーグルト(0.60ユーロ:78円)。クロワッサンは、ギリシャでは1ユーロくらいの値段だが、このスーパーでは安く購入することができた。最近、朝はフルーツをとることが多い。別に栄養に詳しいわけではないが、なんとなく健康に良さそうだし、おいしくて安い。ただそれだけの理由である。

そのあと、私はまた少し本を読んだ後、無線LANが使えるレストランに行った。無線LANが無料で使えるカフェはとても有難い。インターネットカフェに入ると、高いところだと15分0.5ユーロかかるが、このような場所はいくらいても注文したものの料金しかかからないのだ。

最近メールチェック等をしていなかったこともあるが、何よりこのパトラでやることがほとんどなかった。船の出発は17時30分。それまで暇だったのだので私はこのカフェに入った。

頼んだのはグリーク(ギリシャ)・コーヒー(2.0ユーロ:260円)。ギリシャのコーヒーという名だからどんなコーヒーかと思って期待した。出てきたのは小さなカップに入ったどす黒いコーヒーと小さなドーナッツ状をした形をした菓子、そして水が付いてきた。

一口飲んでみる。……正直なところ、私の口には合わなかった。幼稚園の時に砂場で遊んでいた時に、口に入ってしまった砂のような味がする。とてもコーヒーとは思えなかた。飲み終わると、たくさんの溶けきれない粉が入っている。私は何か飲み方が違ったのかもしれないが、私がもう飲むことはないだろう。

「今後のルート」
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インターネットで、私はメールのチェックやブログの更新をした後、この先どうするか考えていた。イタリアのバーリに着いた後どうするか、3つの選択肢があった。

1つ目は、バーリからでるクロアチア・ドブロクニクに行くルートである。ドブロクニクはかつてイタリアのベネチアと並んで栄えた都市であり、世界遺産の要塞都市でもある。なんと、あのジブリ映画『紅の豚』のモデルはこの街なのだ。

2つ目は、シチリア島に行くルートである。この街はまだあまり調べていないのだが、とてもきれいな風景が広がる島で、料理がとてもおいしいのだという。旅で知り合った日本人の話では、あの有名な映画『ゴットファーザー』の舞台であるという。

3つ目は、そのままローマへと進むルートだ。どのルートにしてもローマには必ず行きたいが、他にもいろいろ回ろうと思ったら上記二つを飛ばしてローマへ急ぐという方法もある。もちろん、この都市が舞台となった映画といえば、言わずと知れた『ローマの休日』であろう。

当初の予定では、3つ目のローマに直行する予定だった。しかし、旅をする日本人が言うには、上の2つも外しがたいのだという。ここでは迷って決められないので、私はバーリに着いた時、その土地への交通手段を調べて決めることにした。

「再び自炊」
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私は昨日買ったパスタの残りがあるので、再び昨日と同じ要領で自炊した。昨日はトマトソースだったので、今日はアンチョビの缶詰(0.58ユーロ:70円)と塩(0.34ユーロ:44円)を買って、アンチョビパスタを作った。塩は最低価格で1kg単位だった。これをすべて旅へ持っていくのはかなりの体力ロスとなるので、もったいないがほとんど捨ててしまった。もっと少ない単位で売っていれば良いのだが、売っていないのだ。

「イタリアへ」
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イタリアへ行く船は17時30分。あと1時間だ。私は自炊を済ませ、船乗り場へと向かった。

船乗り場の周りには、外国へ行く船が停泊しているからか、軍の基地のようにフェンスにハリがついている。しかし、門をくぐれば何もチェックなしにすぐに入ることができた。

私の乗る船「Ionian King」を探すが見当たらない。港の人に聞くと、
「ここから1.5kmくらい先だよ。」
と言う。え?遠い!今までの港より大きい!私はもう少しだと思っていたので少しがっかりしたが、
「ここから無料のシャトルバスが出てるから大丈夫だよ。」
と言う。ひとまず安心である。
5分くらいして、バスがやってきた。運転手に
「Ionian Kingまでお願いします。」
と言うと、その船の前まで連れて行ってくれた。

船の入口にあるレセプションに行くと、他の客は切符を切るだけなのに、私だけ
「パスポートを見せなさい。」
と言う。そして出すと、
「どこの国の人ですか?」
と言う。パスポートを出しているのになんだか不思議である。
「日本です。」
「一度大きな建物に行って受付を済ませてから乗船してください。あと20分程で出発するので急いで!」
確かに国を出るのに何もなしに船に乗るとはおかしな話である。私はパスポートに印鑑をもらうのだと思って近くの大きな建物に向かう。

入ると、非常に小さな長細い建物だ。入口中央から、左右それぞれのウイングに分かれている。私はパスポートをチェックしてもらうところに行ってもそれが見つからない。係員に、
「あっちだ。」
「こっちだ。」
と言ってあちこち行く。私はパスポートの印鑑を押してもらうためにどうすれば良いかどうか聞くが、誰にも正確に伝わっていないようだ。私の英語力にお手上げである。

そして、ある係員に、
「だから、パスポートのこのとこに印鑑もらう場所は一体どこにあるんだ?」
と聞くと、
「チケットを見せてください。」
と言う。そしてチケットを見せると、
「港使用税5ユーロ(650円)いただきます。」
と言う。そして5ユーロ支払うと、
「船に乗ってください。急いで。」
と言う。
「え?パスポートに印鑑いらないの?どこで印鑑もらえばいいの?」
「私たちは印鑑押しません。船に乗ってください。」
と言う。もしかして、ギリシャもイタリアもEU加盟国なので印鑑がいらないのかもしれない。勘違いしていたようだ。どうりで私が印鑑を押す場所はどこだと聞いても通じないわけである。私はそう思い、急いで船に乗った。

「Ionian King号乗船」
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船に急いで乗ると、先ほどのレセプションの船員がいなくなっていた。そしえそのレセプション以外の船員に聞くと、
「上にあがれ、上に。」
と指をさす。私はエレベーターで船の上にあがっていくと、
「おい、もどってこい。」
と言う。

下に行くと、先ほどパスポートを見せろと言ったレセプションが戻っていた。レセプションは、私がチケットを見せると、
「OK!いいよ。」
と言う。あれ?切符を切らなくていいの?私が聞くと、私のもつ切符を取って、
「これ半分が私の。そしてこれ半分があなたのだよ。」
と言う。このレセプション、切符を切り忘れていたのに逆になんだか上から目線で話してくる。さっきのパスポートのときといい、なんだか変な船員である。

船はとても大きなものだった。プールやバー、数軒のレストラン、そしてなんとカジノも用意されている。

寝室も用意されていたが、そこに入るためには私の持つチケットの倍である60ユーロ(7800円)を支払わなくてはならない。残念ながら私の切符では寝室は利用できなかった。

テレビがあるところから、何やら日本語が聞こえてくる。なんだなんだと思って見ると、なんと日本の番組である「SASUKE」が放映されているではないか。どうやらギリシャに輸入されているようだ。子供達がチャレンジャーが失敗するシーンを見て、
「あー。あとちょっとだったのに。」
と夢中で見ている姿は、なんだか不思議だった。

船にはところどころ日本のようなところがあった。ドアノブには(引く;Pull)と書いてあるし、コンセントの形状は日本と同じである。最初、この船には日本人が良く乗るのかと思った。しかし、あまりにまるで日本だと思わせるものが多い。更に発見したのが、トイレの高さが低いこと。海外のトイレは高いのに、ここだけ低いのだ。よくみると、「TOTO」と書かれている。どうやら、この船は昔日本の船であり、この船会社が日本から買い取ったのではないかと思った。飛行機にあるようなたくさんの席が並ぶ「Air Seats」がある部屋。よくみてみると、そこは和室を改造したようなつくりになっている。和室の壁の上にかもめの陰がデザインされた絵が貼られ、この船に違和感ないようにされてはいるものの、日本人の私にはバレバレだ。

この船にいると、まるで日本に戻ったようだった。

船は17時間30分かけ、ギリシャ時間午前11時(イタリア時間午前10時)にイタリア・バーリに着く。私はとりあえず船のシャワーを浴び、パソコンで映画を見て寝た。

タケノコ

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